長期連休明けの5月。
平成だろうが令和だろうが、休みを有意義に過ごした人にとってもうだうだ過ごした人にとっても、至極憂鬱な毎日に感じられているんじゃないでしょうか。
少なくともわたしはめちゃくちゃアンニュイで、そこに急激な灼熱サマーの襲来も加わって、体調もまったく芳しくありません。
仕事のアポイントはバシバシ入るし、副業の新規案件のお声がけも(ありがたいことに)どんどんやってきて、ここがやる気の出しどころではあるというのに、心も体もまったくついてこず、とりあえずルミネ10パーセントバーゲンに乗じて、ばかすか新しい服を買ったときはドーパミンが出たものの、その効力が消えるのも早く、「もしかして…そろそろもう労働や浪費や、俗世のあらゆるモチベーションが尽きてしまうのでは?」と、結構マジで不安になるくらいにはヘロヘロのヘロとなっておりました。
これはいかんな〜〜〜、とりあえず人と会う予定は極力入れずに家を片付けるか〜〜〜、そして情報過多だからTwitterのフォローも減らすか〜〜と断捨離を決意した火曜の夜、それでも空いた予定を埋めたい欲が勝ってしまって、足を運ぶことにしたのが映画「神と共に 第1章:罪と罰」でした。
そもそも「続きもの」があまり得意ではない、というか、短い時間ですっきりおさまった物語が好きな、せっかちな私。第2章まであることにも、140分という長さにも、最初は敬遠していたし、「韓国で2700万人の動員!」「映画『新感染』を超える歴史的大ヒット!」と言われても、話半分くらいにしか思ってなかったのですが……、
めちゃめちゃめちゃめちゃハマりました。
公開前からワクワクしながら情報チェックして初日に観に行けばよかった〜〜〜〜〜〜〜!!!!私の愚か者〜〜〜〜〜〜!と自分を罵りつつも、帰宅しながら興奮ツイートしまくり、前を見てなさすぎて道の段差から落ちて足をぐきっとやり、家につくころにはLINEマンガで原作を読み始め、その合間にTwitterでひたすら画像検索し、朝には日本版コミカライズ全4巻を風呂で読み終えて感無量となり、「友達にもすすめよう」「来週また観よう」「Pixivも巡回に行こう……」とさまざまなオタク・モチベーションがわいてきて、今日の仕事帰りには、レディースデーでごった返すピカデリー新宿を再訪し、昨晩すでに売店が閉店していて手に入れられなかった公式パンフレットもゲットして、今なめるように読み終え、このブログを書いているところです。
すでにTwitterでさんざん騒ぎ、人によってはダイレクトマーケティングメンションもかましておりますので、友人のみなさまにおかれましては「もううるさいよ、観たくなったら観るよ」という感じだと思いますが、わたしの慢性的な、もしかしたら1年くらい続いていたかも知れない5月病を劇的にふきとばしてくれた、というか最近忘れかけていた「萌え」の感覚を取り戻させてくれた、「神と共に」という作品に敬意を払って、「みんな観に行ってくれ〜〜〜〜!」と思う理由を、残しておきたい次第です。
というわけで長かったけれど、今から本題スタートです。
1)世界観とストーリーが、普通にめちゃくちゃオタクフレンドリー
ポスターとタイトルからだと、ちょっとどういう映画なのかわかりにくい「神と共に」。元々は「神と一緒に」という、韓国で大ヒットしたウェブトゥーン(ウェブマンガ)を原作としており、ストーリーは一口に言うと、「少年ガンガン」に載ってそうなタイプのファンタジーです。
「死者は49日間冥界をさまよい裁判を受ける。子供を救って死んだ消防士キム・ジャホンは、罪がない『貴人』として、冥界の使者3人から喜ばれる。1000年の間に49人の貴人を助けると、使者も生まれ変わることができるのだ。しかし、ジャホンの身を追う怨霊が現れ…」という筋書きが普通に面白い
— ひらりさ (@sarirahira) May 28, 2019
物語の始まりは、消防士キム・ジャホンが、身を犠牲にして子供を助けるところから。高層ビルから地面にたたきつけられるも、自分が抱きしめて救出した子供が無事両親と再会しているのを見たジャホンは、自分も生存していると思って立ち上がりますが、誰にも反応してもらえず、そこに現れた冥界の使者−−長身の男性・ヘウォンメク(チュ・ジフン)とおかっぱの少女・ドクチュン(キム・ヒャンギ)、そして2人から「リーダー」と呼ばれているカンニム(ハ・ジョンウ)から、「お前は死んだ」と告げられます。
神と共に、こういう立って微笑んでるだけなのにアッ現世の人じゃない…!感がとてもとても最高。オープニングだけでこれ傑作~って思いました pic.twitter.com/4s75fysKVi
— 殺人豚鼠 (@taninakasan) May 28, 2019
あ!!!すき!!!。。。 pic.twitter.com/MauNlOAFJA
— ひらりさ (@sarirahira) May 26, 2019
死者は冥界におもむき、生前の罪をもとに49日間7つの地獄での裁判を受け、様々な罰を受けるか、あるいは罰をのがれて生まれ変わるに値するかを判定されます。ろう者の母親をおいて死んでしまったジャホンは「生まれ変わっても意味なんてない」と絶望しますが、彼は19年ぶりに現れた、きわめて罪が少なく、他人のために献身してきた「貴人」。実は地獄の使者たちには、「1000年で49人の貴人を生まれ変わらせることができたら自分たちも生まれ変われる」というルールがあり、3人はジャホンに地獄を通過させたいという気持ちで必死。
そんな3人から、ジャホンも「生まれ変わる直前には、生者の夢にあらわれて別れを告げることができる」というルールを聞いて、地獄を乗り越える覚悟を持ちますが、そこにジャホンを狙う「怨霊」が現れて、事態は一気に不穏な方向に……。
中国古来の冥界思想にのっとりながらも、ファンタジー的・現代(官僚)的両面にアップデートされた世界観と、各人の思惑・キャラクターがうまくからみあい、きっちり伏線を回収しながら展開していくストーリーが普通にめちゃくちゃおもしろく、140分あっという間に過ぎました。ちなみに、第二章があるとはいえ、尻切れトンボではなく、しっかりオチもついてます。
2)パーフェクトとしか言いようのない、ビジュアル・演技をこれでもかと見せつけるキャストたち
映画を観終わって、「あ〜〜すごいおもしろくてスタイリッシュな映画だった! これは原作でどんなバキバキ神描写がされているのか、早くチェックしなければ……」と、もととなった「神と一緒に」を検索した私は、腰を抜かしました。
神と共に、原作マンガも面白いんだけど、「カバチタレ!」って感じの絵柄だったので超びっくりしてる、よくこの画からのメディアミックスであのキャストで画面作り込むイメージ湧いたなぁ pic.twitter.com/I5WAxdtuDM
— ひらりさ (@sarirahira) May 28, 2019
作画が……似ても似つかないな!?!?
もちろん原作の絵柄には原作ならではの味わいがあるのですが、まさかここから、
このビジュアルの映画を繰り出してくるとは……。
というわけで、ツイートでもめちゃくちゃ絶賛しておりますが、ビジュアルが本当にやばい。かっこよくて美しい俳優たちが、スタイリッシュな衣装をまとって、一ミリのてらいもなく、とことん深く役をつくって、「冥界の使者」「地獄の大王」などを演じきっており、1シーン1シーンうっとりしますし、そのプロフェッショナルぶりに、「とうとい……」という感謝を述べたくなります。
パーティーの紅一点ながら「弁護士」という大事な役割をキュートにこなすドクチュンちゃんを守ってあげたくなりますし、閻魔大王を演じるイ・ジョンジェのやはりキュートな……いや、かっこよさも半端ないですし、一番ベテランなのに冥界法をバンバン破って外界に介入しまくるカンニムを演じるハ・ジョンウもやべーーーのですが、観終えてからひたすら画像を検索し続けてしまったのは、口先では調子に乗りつつ「俺は来世では韓国第二位の財閥の御曹司になるぞ」とうそぶきながらも、カンニム先輩のみをあんじているオラオラクール系使者ヘウォンメクことチュ・ジフンでした。
この画像ホーム画面にします… pic.twitter.com/NwVanDwNoX
— ひらりさ (@sarirahira) May 28, 2019
「神と共に」のヘウォンメク、実はあのロングコートの中にこんなにセクシーな袖なし来ていますよ。もうたまらないのである。 pic.twitter.com/AGdoZcZNqx
— [통판 준비중] HAN (@han_0228_) May 26, 2019
お察しだと思いますが、この、顎まわりがスッキリしてて耳が目立つ感じの顔が好きなんですよね……ほんとに…… pic.twitter.com/k6sLp5VzAp
— ひらりさ (@sarirahira) May 28, 2019
다섯손가락 주지훈 몸선 정말 늘씬하다 못해 가느다란 느낌
— 우리 (@jjh_love8) May 28, 2019
다섯손가락 보세요 지호가 이렇게나 예쁘답니다 pic.twitter.com/6YFQ5VyuFP
韓国の俳優さんで造形の好きな人いっぱいいて、たとえば去年日本で公開していた「不汗党」に出ていたイム・シワンさんとかも本当に好きなんですが、こんなにかっこいい人今まで見たこと合ったっけ?????と思っていたら、どうやら2008年ごろに公開していた「アンティーク〜西洋骨董洋菓子店〜」の韓国映画版で、見ていたはずっぽい。でも、年齢をかさねてあらゆることが円熟し、スタイルや顔つきも今がめちゃくちゃかっこいい気がする……!し、そもそもそんな人(今年35歳)が「冥界の使者(ちょっとやんちゃな若頭系)」を全力でやってくれてるのがうれしいんだよ〜〜〜〜〜。
というわけで、ロングコートをたなびかせる異常にスタイルのいい男たちが観たい人、絶対観てほしい。
脇をかためるその他キャストも、むちゃくちゃ良かったです。ヒット御礼の下記集合写真、あまりにもかっこいい。
3)ベタな設定、過剰な世界観にしっかりと説得力をもたせるVFX
ストーリー、キャストが良くっても、この手のファンタジーは「あ、予算ないのかな……」な安っぽさが見えてしまうと、一気に崩れてしまいます。
「神と共に」の地獄はちゃんとお金かかってる!!!!
静止画だと伝わりにくいかな……と思いつつ。本編、動きがあっても本当に違和感がなく、7つの地獄が顕現しており、そこでキャストたちが生き生きと動いており、素晴らしかったです。砂漠の地獄とか、氷山の地獄とか、道中の「剣樹林」とか、とにかく過酷でどでかい自然がバラエティゆたかに出てくるのですが、どれもすごかった。ちなみに「新感染」の美術監督が、今回美術担当しているそうで。すべてをCGで解決!としてるわけではなく、たとえば先に挙げた「剣樹林」に関しては、40日間かけて、600トンの土を使って作り上げたらしい……。そこまでしなくても、といいたくなるが、そこまでしただけの世界が出現していて、それを観させてもらうだけでも価値がありました。
こういう地獄のテーマパークがあったら、ちょっと行きたいかもしれない……とすら思いました。
4)「あのシーンまた観たいな〜〜」と思わせる、各アクションのてんこ盛りさとかっこよさ
きっちりお金と手間をかけて作り込まれたVFX、とも関連するのですが、アクションの見せ所もしっかりとあって、その点でも楽しめました。地獄での、怨霊や地獄鬼たちとのファンタジックなアクションももちろん良かったのですが、下界パートでの名探偵カンニムリーダー編では、現代フィールドならではの戦いや肉弾戦があって、それが良かった。なにせ、カーアクションまであったし……。「こんなにサービスしてくれなくてもいいんですよ!?」と謙遜してしまうレベルのてんこもり感でした。殺陣におけるロングコートのひらめき方も本当によかったのだが、アレはなんらかの指導があったのだろうか。
5)原作の魅力をしっかりと生かしながらも、大胆に再構築するメディアミックスの手腕
キャストの項でもふれているのですが、「神と共に」と原作「神と一緒に」は、かなり雰囲気の違う作品です。
LINEマンガで無料公開されているのでわかりますが、ほんわかデフォルメされたタイプの、あまり繊細な動きがあるわけではない絵柄(これも味はあって好き)と、キャラクターたちの会話によって、比較的淡々と冥界のシステムが紹介・展開され、そのテイストは非常に近代的。
https://manga.line.me/product/periodic?id=Z0000258
「死者は3人の使者に導かれて地獄へと行く」「49日間かけて、大王たちから裁判を受ける」「怨霊の原因を探りにカンニムが下界に降りる」といった要素は、映画とも一致してるのですが、たとえば地獄に行く際に使われるのが「地下鉄」だったり、裁判に同行するのは、使者ではない単独の「弁護士」だったり、さらには、他の亡者たちも道中じゃんじゃん出てきて、主人公(ジャホン)の道中と、他の亡者たちとを比較した描写が展開されたりします。しかもジャホンが「貴人」という設定はなく、彼が各地獄を越えていくうえでは、弁護士・ジンのこまやかな機転が展開されて、その機転こそがマンガ版の一番のおもしろさとなっています。システムと、そのシステムをハックする機転、がポイントなので、絵柄の素朴さはむしろそれとマッチしているなあと思います。
なので、このマンガがヒットした理由も全然わかるし、これ単体で読んでもまったくおもしろいのですが……それをそのまま映画にしても、多分ここまでヒットしなかっただろうなと思います。
ビジュアルをしっかり作りつつ、原作のストーリーに「貴人の輪廻転生とかかわっている使者の利害」「冥界パートと下界パートを絡まりあわせる、ジャホンの家族の謎」「その謎を追うことで見えてくる、使者たちの葛藤」という要素を、スパイスというにはこってりすぎるやろ!というくらいに盛り込んで、きっちりと回収しきるという大胆な再構成を成功させている、というのが、原作を読むことでわかり、それによって映画版に対しての愛着もひとしおわいた次第です。
ちなみに、原作の絵柄だと読み進みづらいな〜〜という方、日本で出版されている三輪ヨシユキさん作画の「神と一緒に」がとってもおすすめです。こちらはちょっとした改変はありつつも原作準拠で、全4巻でサラッと読めます。
6)リーダーなのに勝手に単独行動かましたうえに、困ったときに「ヘウォンメク〜〜!」と呼んじゃうカンニムの、想像を絶する愛くるしさ
キャラもいいけど関係性もいい。多くを語るとストーリーのネタバレにもなっちゃうな〜〜〜と思うので、とにかく劇場に行ってもらえると……。
たぶん日本人の「へ〜」なんだけど、韓国俳優の「はーーー」って口がっつり開けて言うやつが好きなんですが伝わりますか
— ひらりさ (@sarirahira) May 29, 2019
pic.twitter.com/48hKLTQHUN
あんなかわいい二人や、こんなかわいい二人が観れます。すでにもう観たい。
7)ヘウォンメクの「人間じゃないのでは???」とマジで不安になるレベルのハイパースタイル
はい。
博士の異常な愛情、ヘウォンメクの異常な頭身…… pic.twitter.com/6kne8RDPAg
— ひらりさ (@sarirahira) May 28, 2019
というわけで、「7つの地獄」になぞらえて、7つ挙げてみました。
5月24日(金)から日本で公開している本作。現在都内では3つの映画館、都心では「ピカデリー新宿」の大スクリーンで展開しているのですが、わたしの行った回はあんまり客入りが良くなかった……。2部作完結で、すでに「第2部:因と縁」の公開も6月28日で決定しているので、自分が観るぶんには全然困らないのですが、できたらもっと多くの人がこのど直球娯楽映画を楽しんでくれたらいいな〜〜〜そして萌えを分かち合おうぜ……という気持ちでいっぱいです。
「映画の日だし、何か観たいと思ってた」というあなたも、「美しい男が好き」というあなたも、「5月病を打破したい」というあなたも、良かったら足を運んでみてください。私も、今週もう一度行きます! そして第二章楽しみだ〜〜〜〜!