It all depends on the liver.

飲みすぎないように文章を書く

2月6日に『それでも女をやっていく』を刊行します

2月6日に、一年半ぶりの単著『それでも女をやっていく』(ワニブックス)を刊行します。

2020年〜2022年にかけて連載していたエッセイ「それでも『女』をやっていく」を改稿しつつ、書き下ろしを加えています。装画はばったんさん、装丁は岡本歌織さんです。

元々、私が企画・編集している同人誌「女と女」を手にした編集さんからお声がけいただき、「ひらりささん自身が思い入れのある女との関係について、フィクション・ノンフィクションの人物を問わず書いて欲しいです」と言われたのが始まり。当初の依頼では、読者がライトな百合として受け取れるものを期待されていた気もするのですが、自分がその時々で一番書くべきだ(それまで書きたくなかった、ともいう)と思うものを書き続けていたら、なんか全然違う場所に来てしまいました。

単行本に向けた改稿・書き下ろしの段では、ジェンダーをめぐって傷つけられた「正しくなさ」の記憶だけでなく、逆に自分が内面化しているジェンダーセクシュアリティをめぐる「正しくなさ」の罪悪感を掘り下げていくことに。これがまあ本当に辛かったですね。全部通して読んでくれた友人が、一言「臓物」とだけ言ってよこし、的確だなあと思いました。

目次はこのような構成に。2、3章が書き下ろしを含んでいます。

Chapter1 「女」がわからない
「ほとんど男子校」だった大学で/わたしが女子校を礼賛したくない理由/ブラックアウト・ウィズ鏡月/『桜蘭高校ホスト部』に入りたかった/将来のためではありません/代わりの女/わたしが腐女子だった頃

Chapter2 あなたをうまく愛せない
神風怪盗ジャンヌ』の致命傷/永遠にマクドナルドにいたかった/『マリア様がみてる』の呪い/牢獄の中をぐるぐると歩く/手前の女/いつかわたしを見限るあなたへ

Chapter3 まだフェミニストって言いきれない
切り裂かれた女たちのアーカイヴ/棒の重さを考える/未来の彼女はメイクしているだろうか?/王子様にはなれずに生きる/あなたはフェミニストですか?

 

死ぬほど往生際の悪いタイトル群ですごいな! 

こんなに往生際が悪い本を一体誰が推薦してくれるのか……どうしたらいいんだ……と担当編集とはちゃめちゃに悩んでいたのですが、ドラマプロデューサーの佐野亜裕美さんが、心に突き刺さる推薦文を書いてくださりました。「エルピス」の撮影でもお忙しいなか、本当にありがとうございました。


しかも……実は帯で使われているのは全文バージョンではないのです。許可をいただいたので、以下に全文を引用します。

 

これまでいつも、うまく言語化できない感情を抱えては、「この感情はどういうものなのだと思いますか?」と、りささんに聞いてもらってばかりだった。

あの時感じていたあの感情を言語化してもらい、名前をつけてもらっていた。

りささんがそれをしてくれる人だと私が一方的に感じていたのは、「今になって振り返れば、あの時自分はああいう状態/感情だったことがわかる」ということを自分に対して繰り返しやってきている人であることを嗅ぎ取っていたのが理由かもしれない。

そんなわけで、私はりささんに話を聞いてもらってばかりいた。

何時間も会って話をしてきたはずなのに、初めてりささんの話を聞いた気がした。

 

肥大化した自意識、「女であること」との様々な葛藤との向き合い方。

自分の罪を認めて許していくこと。

その試行錯誤の過程がこれでもかというほど切実に描かれていて、読み進めるのが苦しくなる瞬間さえある。

それでもここで描かれているりささんの戦いの記録に、私自身も戦う勇気をもらうのだ。

(ちなみに現在バージョンの書影の帯に一部誤字があります……。年末年始を挟んだためまだ修正が追いついていないので、新しいバージョンが届き次第差し替えます!すみません)

全体を通じて、ジェンダーセクシュアリティフェミニズムを取り扱っているのもあり、数人のフェミニストの知人に一部ゲラのチェックをお願いし、アドバイスをもらいました。著者のさまざまな属性と強く結びついた内容を書いた本でもあり、万人におすすめできる内容ではないものの、目次や推薦文を読んでぴんときた人には、ぜひ手にとっていただけたら幸いです。

また書店さんでのトークイベントもすでに2件ほど話が進んでいます。発売は一ヶ月先となりますが、事前の予約をいただけると、部数が増えたり、いろいろ展開できることも増えたりするらしい……ので、ネット書店や実店舗などで予約していただけると、ほんと〜〜に嬉しいです。よろしくね!