It all depends on the liver.

飲みすぎないように文章を書く

ライター・ひらりさの自己紹介と、2020年の仕事履歴

ライター・ひらりさにお仕事を頼んでみたい方向けに簡単な自己紹介と仕事履歴をまとめています。ぜひご一読いただければ幸いです。 

まずは自己紹介

最新で利用しているプロフィールはこちら。

 

ライター・編集者。平成元年生まれのオタク女子4人によるサークル「劇団雌猫」メンバー。 劇団雌猫としての編著書に、『浪費図鑑』(小学館)、『だから私はメイクする』(柏書房)など。 個人としてもアンソロジー同人誌『女と女』を発行するなど、女性にまつわるさまざまなテーマについて執筆している。

 

ライター・編集者と書いていますが、実は、平日日中はIT系企業で会社員をもしています。これにユニット「劇団雌猫」での活動も加わり、三足のわらじを履きつつ執筆しています。

 

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経歴で言うと、

・新卒でウェブメディアに就職。ウェブ編集者として4年勤務

ソーシャルゲーム会社のゲームプランナーに転職し、副業でライター活動

・ニュースアプリに関する会社でビジネス職をしつつ、ライター・劇団雌猫活動

という感じ。1989年生まれ東京育ちです。

 

どんな仕事を頼めるの?

個人のライターとしては主に

  1. ブックライティング
  2. 雑誌・ウェブメディアでのインタビュー取材
  3. 個人的な体験や取材にもとづくコラム・エッセイ執筆
  4. 書籍やテーマにあわせたトークイベント出演
  5. メディア・SNSコンサルティング

 

の仕事をしています。本業もあるため、ブックライティング関連は、年間1冊程度をギリギリお受けしています。2020年は、戸田真琴さん『人を心から愛したことがないのだと気づいてしまっても』の取材・執筆協力をしました。 

人を心から愛したことがないのだと気づいてしまっても
 

  

2020年、個人で継続的に執筆している連載は3つです。

FRaU 平成女子の「お金」の話

gendai.ismedia.jp

FraUで月1回、様々な角度から「女がお金を使うとき」を取り上げています。

 

マイナビウーマン コスメ垢の履歴書

woman.mynavi.jp


マイナビウーマンで月1回、コスメをこよなく愛する「コスメアカウント」のみなさんに取材し、コスメにはまった経緯から、メイクポーチの中身まで見せてもらっています。


WANI BOOKS OUT それでも「女」をやっていく

www.wanibookout.com


ワニブックスさんのオウンドメディアで、「女」について直球に綴っていくエッセイ連載も始まりました。 2019年末に個人で出した同人誌「女と女」のコンセプトに近い内容になっていく予定です。

 

LDK the Beauty 推し色メイクレシピ

www.shinyusha.co.jp

 雑誌「LDK the Beauty」にて、推し色アドバイザーのさきのさんによる連載「推し色メイクレシピ」の構成担当をしています。

 

 

ちなみに商業連載ではないですが、プラットフォーム「note」にて、「アラサーのさらけださない日記」という定期購読マガジンも更新しています。

note.mu

 

「劇団雌猫」としても活動してます

こうした個人での活動のほか、「劇団雌猫」として書籍や連載の執筆も行っています。劇団雌猫は、平成元年生まれのオタク女子4人によるユニットです。オタク女子から匿名寄稿を集めて同人誌を出していたところ商業書籍化し、活動を続けています。

 

今年出したのは、以下の3冊です。

 

 2018年に出したエッセイ集のコミカライズです。原案を担当しました。2020年10月からドラマもスタートし、Paraviテレビ東京で放映しています。

 

化粧劇場 わたしたちが本当に知りたいメイク術

化粧劇場 わたしたちが本当に知りたいメイク術

  • 発売日: 2020/05/11
  • メディア: 単行本
 

 エッセイ集「だから私はメイクする」のご縁が繋がり、イガリシノブさんとのコラボメイク本も。

 

海外オタ女子事情

海外オタ女子事情

  • 作者:劇団雌猫
  • 発売日: 2020/06/19
  • メディア: 単行本
 

様々な国、様々なジャンルの海外オタク女性にインタビューした本も出ました。

 

雌猫名義での連載も、いくつか行っています。

日経MJ 劇団雌猫のトレンド夜会

r.nikkei.com

2ヶ月に1度の持ち回りで、メンバーがそれぞれの視点でトレンドを紹介するコラムを執筆しています。

 

OshiKra 私たちコレクターズ

www.felissimo.co.jp

フェリシモさんのオウンドメディアで、いろんな「集めてる」系女子に話を聞く連載も始まりました。

 

仕事を頼みたいときは?

2020年は、連載や書籍の製作に大きくリソースを割いており、新規でご一緒できるのは、単発エッセイやインタビューの依頼となりそうです。他のライターさんに比べ時間の融通がきかないところがありますが、だからこその視点もあると思うので、何かお手伝いできることがあればぜひお声がけください。

ギャランティーに関しては、文字数・納期などをもとにご相談しています。

連絡は、TwitterのDMか、risari.7★gmail.com までお願いします。

 

というわけで、ざっくりした自己紹介でした。以下は単発仕事のアーカイブです。雌猫名義だが個人として寄せたものも、一部含まれます。依頼時の参考にしていただければ幸いです。

10月

woman.mynavi.jp

「コスメ垢の履歴書」特別編で、太田莉菜さんに取材しました。

 

ten-navi.com

オウンドメディア「Dybe!」にて、オタクスキルを仕事に役立てようという記事を書きました。



9月

spur.hpplus.jp


「SPUR」で、2gether特集のインタビュー・コラム構成を行いました。

 

www.e-aidem.com

オウンドメディア「りっすん」で、やめたことについてのエッセイを書きました。


8月

www.seidosha.co.jp

ユリイカ」9月号で、田中東子さん、中村香住さんとの鼎談に参加しました。

 

gunzo.kodansha.co.jp


「群像」8月号で、松田青子さん「持続可能な魂の利用」の書評を書きました。

 

7月

www.kadokawa.co.jp

ダ・ヴィンチ」8月号で、「ミステリと言う勿れ」に関するインタビューにこたえました。

 

nlab.itmedia.co.jp

米代恭さんの新連載「往生際の意味を知れ!」のインタビューをしました。

 

6月

 

suumo.jp

作家・凪良ゆうさんのインタビュー記事を取材・構成しました。 

 

 

5月

gunzo.kodansha.co.jp

群像6月号「最新翻訳小説地図」で、『惨憺たる光』の書評を寄せました。

 

www.tbsradio.jp

アフター6ジャンクションに出演して、「私のカルチャー・エスケープ」について語りました。

 

bunshun.jp

文春オンラインで、「桜蘭高校ホスト部」にまつわるエッセイを書きました。

 

bunshun.jp

文春オンラインで、「黒子のバスケ」とコミックマーケット83にまつわるエッセイを書きました。

 

telling.asahi.com

telling,で「だから私はメイクする」コミカライズのことを書きました。

 

telling.asahi.com

telling,でアンチエイジングにまつわるエッセイを書きました。 

 

note.com

柏書房さんのオウンドメディアで、はらだ有彩さんと対談しました。

 

4月

telling.asahi.com

telling,で「在宅勤務でもメイクは楽しい」というエッセイを書きました。

 

ten-navi.com

Dybe!で「在宅勤務におけるコミュニケーションのコツ」について書きました。

 

3月

www.tbsradio.jp

アフター6ジャンクションに出演して、「だから私はメイクする」の話をしました。

 

www.viewtabi.jp

JR東日本のオウンドメディアで、「一生お金に困らない」スポットへの旅レポを書きました。

 

lidea.today

ライオンのオウンドメディアで、忙しすぎるライターとして、「時短おそうじ」の体験記事を書きました。

 

note.com

LINEのオウンド企画で、「#あの日のLINE」に寄せた文章を書きました。

 

srdk.rakuten.jp

ソレドコで、ゆるくランニングを続けるコツについてのコメントを寄せました。

 

2月

 

note.com

2月発売の「小説すばる」で、安壇美緒さん『金木犀とメテオラ』の書評を寄せました。上のnoteでも読めます。

 

ten-navi.com

オウンドメディア「Dybe!」で、会社を休んで短期留学した時のことを書きました。

 

telling.asahi.com

telling.asahi.com

telling,さんで、2回にわたり、「ルッキズム」にまつわる記事を書きました。

 

1月

nlab.itmedia.co.jp

ハイローでも大活躍だった塩野瑛久さんに取材しました。感無量。

 

www.gentosha.jp

新刊を出したばかりの整形アイドル轟ちゃんに取材しました。

 

恋愛観を少女漫画で培った女にこそ沁みる、漫画「天然素材でいこう。」の味わい深さ

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マンガParkの全巻無料キャンペーンに踊らされ、朝も晩もおうちで白泉社作品を読み続けている。

動物のお医者さん』も『天使禁猟区』も無料期間中に読み終わらなかったけれど、10代の「花とゆめ」「LaLa」へのパッションが再燃してしまい、深夜に「あのマンガは?あのマンガは!?」と延々当時の白泉社作品を挙げ続けるという所業までした。

 

 

 基本的には過去に読んだ作品を読み返していたのだけれど、「マンガPark」トップで取り上げられていたのでふと気になって初めて読んだら、ひじょ〜〜〜にハマってしまい、この日月で文庫版5冊のKindleを読み切ってしまった作品がある。それが麻生みこと「天然素材でいこう。」だ。

  

天然素材でいこう。 1 (白泉社文庫)

天然素材でいこう。 1 (白泉社文庫)

 

 

麻生みこと先生といえば、ドラマ化された法廷ものマンガ『そこをなんとか。』が一番有名な気がする。私もとても楽しく読んだのだが、どちらかというと「仕事もの」としてとらえていたのもあり、その他の「恋愛もの」らしい既刊に手を出そうという発想がなかった。しかしマンガParkで1話を読んでみたら、あら驚き、あまりにも面白いし、この作品が連載されていた10代のときにリアルタイムで読んでも、この面白さは理解できなかったかもしれないなあ、今でよかった……とも思った。

 

話の概要は、本当にシンプルに、ラブコメだ。

 

いたって平凡そのものだが、超マイペースな天然キャラであるためか、学年のアイドル的美少女、理々子・美晴の2人に慕われ、つるんでいる女子高生・二美(ふたみ)。美少女二人を「異次元だなあ……」と傍観していた二美だが、その二人が恋心を寄せる学年のカリスマ的男子・高雄(たかお)が兄と同じバスケ部だったために、なぜか高雄にも心を許されてしまい、毎日ごはんを食べる仲に。なんとか友人二人と高雄の仲を取り持とうとする二美だが、二美の飾らない人柄と、いつか映画翻訳者になりたいという彼女のぶれなさに触れた高雄は、二美をどんどん好きになってしまう。結局、二美も高雄に惹かれ、二人は付き合うことに。しかし、いたって自然体な二美と、彼女の真水のようなナチュラルさを愛した高雄は、「恋愛」的に距離を縮めることがうまくできない。そこに、高雄よりずっと前から二美に恋していたチャラ男・三千院、子供時代から自慢の従兄弟・高雄にべったりなおてんば娘・千津もくわわり、二人をめぐる人間関係はどんどん混線していく。


という感じ。

 

平凡な女主人公と学校のカリスマ男子が恋に落ちて……というのは、きわめて少女漫画的なのだが、このマンガがすごいなあと思うのは、「1話で二人をくっつけてしまって、そこから『恋愛とはなにか』『好きとはなにか』について、あの手この手で二人に考えさせていく」のを90年代の時点でやっていることだ。

 

この人は「オンリーワンだ」「一緒にいたいな」ということに、二美と高雄の二人はすぐに気づくのだけれど、では、自分が惹かれた相手の「オンリーワン」さを損ねずに「恋愛する」「一緒にいる」とはどういうことなのかーーそもそも相手がそのままでオンリーワンであるならそれで十分じゃないのか?自分ができることって何なのか?ということを、二人は徹底的に(作者と周囲の登場人物によって)手を変え品を変え考えさせられるのである。

恋愛というのは「他者に干渉/侵害する」行為である、ことを出発点に、相手のそのままを大切したいときに、それでも「干渉/侵害したい」この気持ちは何なのか? 相手の趣味に全く詳しくなくても、同じ舞台を見て全然違う感想を抱いても、一緒にいたいこの気持ちをどうすればいいのか? 二美と高雄は折々それぞれに考えて、立ち止まって、ときにはお互いの恋敵や横恋慕相手に翻弄されて、その恋敵や横恋慕相手が個別に持っている「オンリーワン」さを実感したうえで、それでもやっぱり二美・高雄と一番一緒にいたいのだ、と確認し続けるのである。

 

恋愛は、人類の中でもかなり参加者の多い趣味なので、いろいろな宗派があるジャンルであり、少女漫画の中での描かれ方も無限に存在している。

相手の内面・外面への関心、ときめき、性的欲求そのもの、をたくみに描くことで「理想のカップル」に読者を萌えさせる作品もあれば、今、二人の間の障壁を高く設定し、ヒロインはヒーローを獲得できるか/できないか、ヒーローがヒロインをどう思っているか/思っていないかの駆け引き、を見せつけることで、「これが恋愛の醍醐味でしょ?」と読者を翻弄する作品もある。あるいは、ヒーローが抱える心の傷や過去をヒロインだけが癒やすことができたという過程を綴って、「これが真の愛だよね」と語りかけ、読者の心の穴をも埋める作品もあるだろう。

私もそのようにさまざまな流派の、しかし、読者のアドレナリンをあの手この手で誘発してくれる少女漫画を読んできたから、この歳になっても「NYCのジェヒョンと道端で知りあいてえ〜」くらいのしょうもない想像を毎日するし(毎日は言いすぎかも知れないが……)、20代には「帰り道に頭ポンポンしてきたの何なの!?距離近いけど好きなのかどうなのかはっきりしてくれ!でもこのはっきりしないのが楽しいという気持ちもあるはある」みたいなことで数日あーだこーだ友人にしゃべりまくってそれだけで満足するということもあった(流石に最近はもうないです)。

 

いろいろバリエーションをあげてみたけれど、やはり基本的に恋愛漫画というのは「想いの成就」「障壁の排除」をゴールとしており、「ゴール」に向かって物事が進むかぎり、それは常に吊り橋効果的アドレナリンに大きくフォーカスしたものになっている部分が否めないように思う。

 

それはそれで本当に心底めちゃくちゃ面白いし、それだけでないエンターテイメントや人生の本質もいっぱい散りばめて描かれているので、そうした作品を今読んでもめちゃくちゃ楽しいし、大好きだし、私の人生に不可欠と言い切れる。言い切れるのだけれどーーだからこそ、「天然素材でいこう。」で、その「ゴール」の本質が徹底的に解体されているのを読んで、とても気持ちよくなってしまった自分もいた。

ゴールに夢を見ていないのに、その「ゴール」の不断の確認こそが「恋愛」なのだという、ある意味では絶望的なまでに凡庸で、でも愛おしい現実を突きつけてくるのだ。それは一見非ドラマティックなのだけれど、のぞいてみると小さなドラマに彩られた、とても切ないものでもある。

「恋愛しなくても、一人でも、あるいは他の人とでも、人生は十分に楽しいし、私はあなたにとって一人だけのオンリーワンではないし、あなたを決定的に変える存在でもないんだけど、でもそれでも、あなたといたいし、一緒にいられなくてもあなたを好きだ」

そんなものを10代に読んでも、きっと理解はできなかっただろうなと感じるから、私は今「天然素材でいこう。」を読めてよかったなあと思う。

 

二美ちゃんになりたいよ〜、ともだえながら、もう一回読み返そうと思います。

 

天然素材でいこう。 1 (白泉社文庫)

天然素材でいこう。 1 (白泉社文庫)

 

 

 

いつもの料理を、ひと味変えて? シェフ=キュレーターの技にむせび泣く「シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート」展

箱根に来ています。

「仕事を忘れて温泉旅館でのんびりしたい……」というのが最初の動機だったのですが、美術館密集地帯である箱根では、興味惹かれる企画展もあれこれやっていて、1日目である今日はポーラ美術館に行くことに。

 

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1月にも一度訪問し、とても気に入っていたポーラ美術館。山の緑に囲まれていて、建物そばにひろがる遊歩道にも、彫刻などが置かれています。前回は雨だし冬だしでとても寒かったのですが、今回は天候にも恵まれ、ガラス張りの建物がなおさら映える映える。


鑑賞したのは、8月1日から開催している「シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート」展。

bijutsutecho.com

 

サブタイトルから、巨匠のアートと、現代アートをコラボレーションさせる試みなのだというのは察していたのですが、すごかった……。

 

たとえば、館内に水色のプールをつくりだし、そこに無数の白い器をぷかぷかと浮かべて、器どうしの響きを楽しむ作品(セレスト・ブルシエ=ムジュノの《クリナメン v.7》)にあわせて、モネの《睡蓮》を飾ったり。

 

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クリナメンは撮影禁止でしたが、上に貼った美術手帖の記事で写真が掲載されています。

 

たとえば、15年以上アラスカに通い一人カヌーをこいで氷河の写真を撮り続けてきた日本人写真家の作品(石塚元太良《Middle of the Night》)のなかに、ルネ・マグリットの《前兆》をしのばせたり。

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そして、鏡とガラス板を無数にくみあわせたアート作品(アリシア・クワデ《まなざしの間に》)の奥に、サルバトール・ダリの《姿の見えない眠る人、馬、獅子》を配置し、観るもの自身の立ち位置さえも失わせるような、幻惑の世界を作り出したり……。

 

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ただ蓮の絵同士を並べるとか、ヌードの系譜をたどるとか(横浜美術館のヌード展は素晴らしかったですけど!)、そういうオーソドックスな発想ではなく、一つ一つで観たら絶対むすびつかないようなふたつ(あるいはそれ以上)を、確信をもった手つきで、大胆に、しかし繊細に、同じテーブルに乗せて、「どう?」「いいでしょ」とやってくるような企画展で、しかもそれが決して押し付けがましくも必死でもない軽やかさで、とってもとっても最高でした。部屋をうつるたびに「う〜〜ん!(感嘆)」とうならざるをえなかった……。まるでNOMAやエル・ブジといったイノベーティブ・フュージョンの名店で、シェフ渾身の新作コースを食しているような、新鮮な体験だったのです。

 

楽しみにしていた割に(笑)展示説明や関連記事を大して読まずに現地に赴いたのですが、驚いたのが、飾られていた「巨匠」サイドの作品に関しては、すべてポーラ美術館がもともと所蔵しているものだったということ。たしかに1月にコレクション展を観たときに、目にした記憶があるものもあるような……。膨大な西洋絵画だけをだーっっと観るのも、それはそれで醍醐味でもあるのですが、どうしても「ちょっとお腹いっぱいです」となって、一つひとつの印象が薄れてしまうところ、今回の企画展では異種格闘戦によって、現代アートも心に残るし、歴史的名画のほうも、くっきりと印象に残る構成になっていて(展示点数としてもちょうどよかった)、しかも一部屋一部屋まったく印象が違うのもあって、空間をふんだんに使い、最後まで胃もたれさせないフルコースになっていたなあと思います。

ちなみに併設のレストランでは、展示にあわせた特別コース「シンコペーション」が食べられます。これも可愛くて美味しかった!

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さて、ここまで料理にたとえてしまいましたが、展示のメインタイトルである「シンコペーション」は音楽用語。日本語では「切分法」と訳されていて、強い拍と弱い拍の位置を通常と変えて、リズムに変化を与えることらしいです。おのおのの歴史のなかで、それまでとは違ったリズムを刻んできたアーティスト同士を、時代をこえてくみあわせることで、さらに新しいリズムを生み出す……というような意図があるのかな。

公式キャプションでも、音楽にたとえるような言葉遣いが多く、また、遊歩道では、スーザン・フィリップスというアート作家による音楽インスタレーションが行われていました。

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開館以来初となる現代美術の展覧会とのことですが、ほんとうに、企画したキュレーターさんに「ありがとう〜〜!」とスタンディングオベーションを送りたい気持ちになりました。

あと石原元太良さんの氷河写真、アラスカのゴールドラッシュ廃墟写真がとても良くて、本を買った。

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ぜんぜん素人鑑賞者なのですが、だからこそ、いろんな作家さんとの出会いがたくさんあるなと楽しみです。

ひらりさってどんなもの書いてるの? 2019年のおしごとアーカイブ

※2020年1月に更新しました


会社員でライターで劇団雌猫です

 

こんにちは。会社員をしながらライター・編集をしている”ひらりさ”です。あと、「劇団雌猫」というオタク女ユニットの一員として活動しています。

 

 

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いくつかのプロフィールイラストが存在している。

 

……なんてだけだと、どんな人かわからないだろうと思い、2018年までの仕事履歴をまとめたのが2019年1月のこと。

zerokkuma.hatenablog.com


気づいたら、2019年がだいぶ終わっていた……。

 

劇団雌猫としては、新たに3冊書籍を出しました。

 

誰になんと言われようと、これが私の恋愛です

誰になんと言われようと、これが私の恋愛です

  • 作者:劇団雌猫
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2019/11/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

本業はオタクです。-シュミも楽しむあの人の仕事術 (単行本)

本業はオタクです。-シュミも楽しむあの人の仕事術 (単行本)

 

 

一生楽しく浪費するためのお金の話

一生楽しく浪費するためのお金の話

 

 

また、昨年刊行した『だから私はメイクする』のコミカライズも、FEELYOUNGで連載しています。

 

 

 

雑誌出演、インタビューなど、雌猫の活動だけでもいろいろやっているのですが、個人の活動はなおさら細々やっており、これも記録しておかねば……と思うので、2019年ぶんを。

どんな仕事を頼めるの?

個人ライターとしては大きく、

  1. ブックライティング
  2. 雑誌・ウェブメディアでのインタビュー取材
  3. 個人的な体験や取材にもとづくコラム・エッセイ執筆
  4. 書籍やテーマにあわせたトークイベント出演
  5. サービスやプランの体験レポ

 

の仕事をしています。4年間ウェブ編集として働き、劇団雌猫の活動でも毎度企画・編集といえる仕事をしているので、編集者という自認もあるのですが、なにぶん会社員が本業なので、書きたいものを書くことを優先に仕事をしています。


今のところの興味範囲としては、

女、お金、コスメ、美容、オタク、腐女子ボーイズラブ、百合、

映画(とくに韓国映画!)、アニメ、漫画、

ジェンダーフェミニズム、インターネット、メディア、韓国、アジア

などかなあと思います。もし合いそうだなと思う企画があれば是非お声がけください。

 


2019年、個人で連載しているのは2つです。

FRaU 平成女子の「お金の話」

gendai.ismedia.jp

FraUで月1回、様々な角度から「女がお金を使うとき」を取り上げています。(取材を受けてくださるかた、読みたいネタなども絶賛募集中……!)

 

マイナビウーマン コスメ垢の履歴書

woman.mynavi.jp

マイナビウーマンで月1回、コスメをこよなく愛する「コスメアカウント」のみなさんに取材し、コスメにはまった経緯から、メイクポーチの中身まで見せてもらっています。

 

また、劇団雌猫の活動の一環ですが、名義を出して日経MJでも連載しています。

日経MJ 劇団雌猫のトレンド夜会

r.nikkei.com

2ヶ月に1度の持ち回りで、メンバーがそれぞれの視点でコラムを執筆しています。

 

この合間にもろもろの劇団雌猫としての活動を行い、時間の許す範囲で個別の依頼をお受けしています。他のライターさんに比べ時間の融通がきかないところがありますが、だからこその視点もあると思うので、ご興味持っていただければうれしいです。

連絡は、TwitterのDMか、risari.7★gmail.com までお願いします。

 

※2019年11月までは、すでに受けている仕事で執筆スケジュールがいっぱいです。12月以降でご一緒できる案件や、トークイベント・対談などの出演案件があればお声がけください。

 

ちなみにプラットフォーム「note」にて、「アラサーのさらけださない日記」という定期購読マガジンも更新しています。

note.mu

 

 

 

というわけで、以下は単発仕事のアーカイブです。雌猫名義だが個人として寄せたものも、一部含まれます。依頼時の参考にしていただければ幸いです。


2019年のアーカイブ(2020年1月更新)

12月

 

わたしの好きな街: 独断と偏愛の東京

わたしの好きな街: 独断と偏愛の東京

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2019/12/12
  • メディア: 単行本
 

 ポプラ社から出た「わたしの好きな街」に、東新宿について寄稿しました。

 

SPUR(シュプール) 2020年 2 月号 [雑誌]

SPUR(シュプール) 2020年 2 月号 [雑誌]

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2019/12/23
  • メディア: 雑誌
 

 SPUR2月号、「ベスト・オブ・カラーズ」でおすすめコスメを紹介しました。

bunshun.jp

短期留学中にあり金を盗まれたので、「文春オンライン」に寄稿しました。大変だった……。

 

www.viewtabi.jp

 「びゅうたび」で、群馬旅行のレポート記事を書きました。楽しかった。

ten-navi.com

Dybe!にて、『漫画 君たちはどう生きるか』の書評を書きました。

 

srdk.rakuten.jp

ソレドコにて、セルフネイルを薦める記事を書きました。

 

11月

完全版 韓国・フェミニズム・日本

完全版 韓国・フェミニズム・日本

  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2019/11/29
  • メディア: 単行本
 

 河出書房新社から出た「完全版 韓国・フェミニズム・日本」にエッセイを寄稿しました。

natalie.mu

映画ナタリーで、「グレタ」にあわせた横槍メンゴさんインタビューを構成しました。

 

nlab.itmedia.co.jp

アッチあいさん『ポチごっこ』のインタビューをしました。1年ぶり2回目でした。

 

10月

note.com

柏書房ウェブマガジン「かしわもち」にて、はらだ有彩さんとの対談シリーズがはじまりました。ゆるく続きます。

 

nlab.itmedia.co.jp

ねとらぼ調査隊にて、「つけびの村」インタビューをしました。

woman.mynavi.jp

マイナビウーマン「ラブソングのB面」の企画に参加しました。

 

9月

subaru.shueisha.co.jp

すばる9月号にて、劇団雌猫ひらりさとして「出費日録」を執筆しました。

 

 yomyom vol.58にて、「トレンドを、読む読む。」に寄稿しました。

 

bookandbeer.com


はらだ有彩さん『日本のヤバい女の子 静かなる抵抗』の刊行を記念したトークイベントに、ゲストとして出演しました。

 

8月

note.mu

ひの宙子さん『グッド・バイ・プロミネンス』に推薦コメントを寄せました。

 

ladyknows.jp

Ladyknowsが開催した「美容とルッキズム」についてのトークイベントに、長田杏奈さんと出演しました。

 

ten-navi.com

オウンドメディア「Dybe!」で、仕事に効く書籍を紹介しました。

 

7月

nlab.itmedia.co.jp

ミュージカル「少女革命ウテナ〜深く綻ぶ黒薔薇の〜」鑑賞レポートを執筆しました。

 

ginzamag.com

ウェブの「GINZA」にて、京都旅のエッセイを書きました。

 

www.pixivision.net

Pixivisonで『これだからゲーム作りはやめられない!』のレビューを書きました。

 

www.gentosha.jp

ゆうこすさん、ハヤカワ五味さんの対談記事を構成しました。


woman.mynavi.jp

マイナビウーマンにて、「りぼん」愛をつづりました。

6月

musical-utena.com

ミュージカル「少女革命ウテナ〜深く綻ぶ黒薔薇の〜」パンフレットで、幾原邦彦さんと吉谷光太郎さんの対談を取材・構成しました。

 

bookandbeer.com

岡田育さんの単行本『40歳までにコレをやめる』の刊行を記念したトークイベントに、ゲストとして出演しました。

 

note.mu

長田杏奈さんの単行本『美容は自尊心の筋トレ』の刊行を記念したトークイベントに、ゲストとして出演しました。

 

 

5月 

ikuni.net

ダ・ヴィンチ6月号で、幾原邦彦インタビューを担当しました。

 

ananweb.jp

anan本誌で、アニメ「さらざんまい」によせたコラムを書きました。

 

bookandbeer.com

歌人・瀬戸夏子さんの『現実のクリストファー・ロビン』刊行を記念したトークイベントに、ゲストとして出演しました。

 

nlab.itmedia.co.jp

「凪のお暇」コナリミサトさん、「私の少年高野ひと深さんに飲酒トークしていただき、それを記事にしました。

 

 

lifeplan-navi.comouオウンドメディアの「ライフプランNAVI」で、投資被害にあったときのことを書きました。

 

4月

www.tbsradio.jp

アフター6ジャンクションに出演し、幾原邦彦さんといっしょに「さらざんまい」の話をさせていただきました。

ten-navi.com

オウンドメディア「Dybe!」で、就活のときのことを書きました。

nlab.itmedia.co.jp

幾原邦彦展のレポートを書きました。

www.pixivision.net

Pixivisionで『絶対BLになる世界VS絶対BLになりたくない男』のレビューを書きました。

 

www.meryx.co.jp

給食サービス会社・メリックス株式会社の採用案内の取材・構成を担当しました。

 

3月

 文學界4月号に、『だから私はメイクする』に関連したエッセイ「俺もやってみようかな?」を執筆しました。

 

welove.expedia.co.jp

旅に関する媒体「We♡Expedia」で、東京リフレッシュスポットの記事を書きました。

 

natalie.mu

フルーツバスケットanother」の刊行を記念して、横槍メンゴ先生に取材しました。

cakes.mu

cisさんのイベントレポートをまとめました。

 

2月

www.ohtabooks.com

QUICK JAPAN vol.142で荻野由佳さんコメントの取材・構成を担当しました。

 

nlab.itmedia.co.jp

onBLUEで連載されている、夏野寛子さんに、単行本『25時、赤坂で』についてインタビュー取材しました。

本当に美しくて情緒的な漫画を描かれる方です!

 

nlab.itmedia.co.jp

ビニールタッキーさんの恒例企画「この映画宣伝がすごい! 2018 ~勝手に日本宣伝アカデミー賞」イベントレポート を書きました。

 

アフター6ジャンクションのカルチャー最新レポートのコーナーに出演し、ソフィ・カル展について話しました。

1月

shibuyaso.com

サイト「しぶや荘」での企画・妄想ラブレターの編集・執筆をしました。

 

nlab.itmedia.co.jp

中国のビジネス状況にくわしい戦略マーケター・なつよさんのイベントレポートを書きました。(375ブックマークされていたはずだが、何故か見えない……)

kai-you.net

KAIYOUにて、とらのあな通販サイトのキャンペーンによせて、コラムを書きました。

spur.hpplus.jp

劇団雌猫『だから私はメイクする』になぞらえて、中島美嘉さんの美意識について伺いました。

 

誰かの記憶に残るということ−−瀬戸夏子×吉田隼人「早稲田から眺める現代短歌クロニクル」

わたしには、西武新宿線に対してのほとんど合理的でないトラウマがあって、それに付随する苦手意識を強く抱いている。

 

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たとえば、大学時代にちょっとだけ付き合っていた男性のバイト先が、今はなきあおい書店高田馬場店だったけれど、3ヶ月でサクッと別れたこととか。

たとえば、社会人になってから付き合った男性の住居が西武新宿線沿線在住で、一時期毎日のように電車に乗り、ときには西武新宿駅PePeの花屋で薔薇を買って行ったことすらあるが、2ヶ月でサクッと振られたこととか。

たとえば、中井駅で一緒に美味しいもつ焼きを食べたことのある元交際男性が、後日Twitterで結婚生活について愚痴っているのを目撃したこととか。


もはやおそろしいまでの言いがかりというか、逆恨みでしかないのだが、なんとなく、私の数少ない交際についての苦い記憶は、西武新宿線によって呪われているような気がしており、その後とあるテレビ番組にマンガに詳しいライターとして呼ばれ、複数回の打ち合わせに参加し、当日もリハーサルあわせて3時間近く拘束され、さすがに一回目は楽しかったしいいけど二回目呼ばれたときには、車代(ギャラ)的なものをいただけませんかと提案したら、『高田馬場のスタジオまでの交通費を後で請求してください』と言われたときにも、「西武新宿線が悪い」と思ったくらいだ。

 

というわけで−−上記もろもろのエピソードに一切早稲田生は出てこないのだが−−、限りなく近隣である東新宿というエリアに住みながらも、極力高田馬場にある大学には近寄らずに暮らしていたわたしが、この土曜に、雨の中バスに乗り、まさに早稲田!なエリアに位置する「古書ソオダ水」にお邪魔したのは、サークル「早稲田短歌」出身の歌人であり、先日下北沢B&Bにてトークイベントをご一緒した瀬戸夏子さんの、新刊刊行記念トークイベント第三弾「早稲田から眺める現代短歌クロニクル〜「早稲田短歌」「町」「率」から現在まで〜」に参加するためだった。

前々から行きたいと思っていたが、結局当日飛び入り参加することになった同イベント、開演15分前に「まだ席ありますか〜」と弱々しく声をかけたら普通に満員御礼で、一人だけ立ち見というちょっとはずかしい事態になり「挨拶したら抜けるか……」と思っていたのだけれど、誰か欠席した人がいたのか、一つだけ椅子が空いていて、途中で座らせていただくことができ、2時間たっぷりと、瀬戸さんと、サークルの後輩であり1989年生まれの歌人吉田隼人さんのトークを堪能することができた。

おおきくわけて前半は、瀬戸さんが見てきた短歌業界の全体のトレンド−−短歌同人とネット短歌が絡み合いながら隆盛するも、なかなか歌集は出ず、「データ」を収集しなければならなかった時代から、「文学フリマ」によって同人誌をつくるサークルによる短歌が盛り上がり、また書肆侃侃房の登場によって、(絶版はありつつも)「紙」で歌が手に入るようになった時代に変わったという大枠の話を、後半は、その「文学フリマ」と「紙」の時代の中で存在感を持つようになった学生短歌、ひいては「早稲田短歌」、そして瀬戸さんが参加していた同人誌「町」と「率」についてという、ディテールにフォーカスした話が展開された。わたしは短歌にも短歌業界にも一切精通していないのだけれど、こうした創作周辺の枠組みの話を通じて、流通する「短歌」のフォーマットや、「歌人」たちのマインドにもこういう影響があったと思う、そして瀬戸さんはその中でこういうふうに歌作をしていたという話が、お二人のそれぞれ挙げた「2000年代以降の短歌20首」を引きながら広がっていったので、手元にくばられたペーパーに記載されたその20首をヒントに、頭のなかでお二人の言葉を咀嚼することができて、とても刺激的な2時間だった。

 

Twitterでもメモっていたのだけれど、印象的だった内容は大体こんな感じ。
(あくまで私のメモ書きなので、当日のニュアンスと異なる可能性大ですご注意を)

伊藤計劃に影響されたのかやたら「傭兵」的な言葉が使われてた時代があった

・でもここまで現実が切迫してると、とても簡単には扱えない言葉が増えた

・(瀬戸さんは)抑圧がないと歌がつくれない

・「手紙魔まみ」に衝撃を受けて歌をつくりはじめたので、穂村弘と(モデルとなった)雪舟えまの影響をめちゃくちゃ受けている

・(短歌20首ペーパーにふれながら)雪舟えまの「百年」と東直子の「燃えるみずうみ」の強さから逃れられなくて、それの真似になっちゃって、そこから脱しようと苦しんでた

 黎明のニュースは音を消してみるひとへわたしの百年あげる(雪舟えま)

 好きだった世界をみんな連れてゆくあなたのカヌー燃えるみずうみ(東直子

 ではなく雪は燃えるもの・ハッピー・バースデイ・あなたも傘も似たようなもの(瀬戸夏子)

 

 

・歌集を2つ出して、ある程度自分の好きに歌をよめるようになったかもと思ったら、逆に歌をつくるモチベーションがなくなったかも
・「言いさし」「欠落」が短歌の妙と言われるし、穂村弘は「5W1Hを明確にしすぎない」ほうがいいと繰り返しているが、正直(瀬戸さんは)言いたいこと多すぎて、できない
・ってか「言いさすことで、そこの欠落に読み手が自分を代入してお気持ち共感する」みたいなのが許せない、短歌を「お気持ち共感受容体」にしたくない

・「情報量が多すぎるから短歌やめろ」と散々言われた

・でも塚本邦雄はめっちゃ情報量詰めて成功してる、なのでめちゃめちゃ(塚本の歌を)勉強した
・我妻俊樹は塚本邦雄タイプ、フラワーしげるは情報を詰めない
・塚本のもう一つの特徴は、シニフィアン(意味しているもの)=シニフィエ(意味されているもの)が離れていること

・現代短歌の世界では、「なんで?」って思うくらいシニフィアンシニフィエが癒着している人が多い
・現代詩はむしろシニフィアンシニフィエをこれでもかというくらい離そうとする

・(瀬戸さんは)離したいほうなので、「現代詩短歌」って100回くらい言われた

・偶然短歌botがおもしろがられてるけど、心に残ってる文字列は一つもないはず
・短歌の世界は「つくる」人より「よまれたい」人の世界
・歌を作るAIではなくて、歌の価値判断ができるAIができたら本当の脅威

・(20首にふれながら)歌作を短期間でやめてしまった人の歌が、なぜかネットでバズったりすることもある。

 問十二、夜空の青を微分せよ。街の明りは無視してもよい(川北天華)

 実はこの「問〜」形式の短歌はたくさんあるのだけど、この川北さんの歌がなぜバズったのか?がわかる、事前に価値判断できるAIができたら、短歌も人間も終わっていいと思う

・(瀬戸さん自身は)過去に女性同性愛についての連作をうたって、その後いなくなってしまった觜本なつめの一首を、折に触れて思い出してしまう

 赤く熱おびた木の実を口うつし おまえと子宮を交換したい(觜本なつめ)

・昔は「歌のわかれ」などといって、歌作りをやめることがものすごく重大な決意というか感傷的なものとしてとらえられていたが、短歌は「趣味」で「座興」なので、フェードアウトしたっていいし、いまはフェードアウトした人の歌でも、何かしらのかたちで「残る」

・「かくれんぼ同好会に行っちゃったやつの歌、すごい良かったんですよね」(吉田)

・「できることなら、定家みたいに1000年みんなに覚えてもらいたい」(吉田)という考え方もあるだろうけれど、(瀬戸さんは)自分にとっての觜本なつめさんの一首のようなかたちで、自分の歌が残ってほしい

 

短歌に限らず、なにかを「作る」「発信する」ことに楽しみを覚えている人には、とても響く内容が詰まっていて、本当に、行ってよかったなあと、一言一言をかみしめるトークイベントだった。なんとなく抱いていた苦い記憶たちが、良い「記憶」の話で塗り替えられたという点でも。

そして終了後にご挨拶した「短歌は記憶されて、よまれないと意味がないので、ぜひひらりささんの好きな歌があったら、紹介してくださいね! 」とありがたいお言葉をいただいたので、ペーパーに書かれていた、20首×2のなかから、個人的に「好きだな」と思ったたものを挙げておきます。

 

晩年は神秘主義へと陥った僕のほうから伝えておくね (佐久間慧)

問十二、夜空の青を微分せよ。街の明りは無視してもよい (川北天華)

かたつむりって炎なんだね春雷があたしを指名するから行くね (雪舟えま)

夏の井戸(それから彼と彼女にはしあわせな日々はあまりなかった)(我妻俊樹)

ずっと味方でいてよ菜の花咲くなかを味方は愛の言葉ではない (大森静佳)

 

 

とにかく情報量が多い、以下2冊の瀬戸さんの本もおすすめです。 

 

現実のクリストファー・ロビン 瀬戸夏子ノート2009-2017

現実のクリストファー・ロビン 瀬戸夏子ノート2009-2017

 

 

 

かわいい海とかわいくない海 end. (現代歌人シリーズ10)

かわいい海とかわいくない海 end. (現代歌人シリーズ10)

 

 

追記:6月24日に、ご指摘頂いて、短歌引用の誤記を修正しました。失礼しました!

5月病を吹き飛ばす全力ジェットコースター映画「神と共に 第1章:罪と罰」を、オタク女が早口で語る

長期連休明けの5月。

平成だろうが令和だろうが、休みを有意義に過ごした人にとってもうだうだ過ごした人にとっても、至極憂鬱な毎日に感じられているんじゃないでしょうか。

少なくともわたしはめちゃくちゃアンニュイで、そこに急激な灼熱サマーの襲来も加わって、体調もまったく芳しくありません。

仕事のアポイントはバシバシ入るし、副業の新規案件のお声がけも(ありがたいことに)どんどんやってきて、ここがやる気の出しどころではあるというのに、心も体もまったくついてこず、とりあえずルミネ10パーセントバーゲンに乗じて、ばかすか新しい服を買ったときはドーパミンが出たものの、その効力が消えるのも早く、「もしかして…そろそろもう労働や浪費や、俗世のあらゆるモチベーションが尽きてしまうのでは?」と、結構マジで不安になるくらいにはヘロヘロのヘロとなっておりました。

これはいかんな〜〜〜、とりあえず人と会う予定は極力入れずに家を片付けるか〜〜〜、そして情報過多だからTwitterのフォローも減らすか〜〜と断捨離を決意した火曜の夜、それでも空いた予定を埋めたい欲が勝ってしまって、足を運ぶことにしたのが映画「神と共に 第1章:罪と罰」でした。

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kamitotomoni.com

 

そもそも「続きもの」があまり得意ではない、というか、短い時間ですっきりおさまった物語が好きな、せっかちな私。第2章まであることにも、140分という長さにも、最初は敬遠していたし、「韓国で2700万人の動員!」「映画『新感染』を超える歴史的大ヒット!」と言われても、話半分くらいにしか思ってなかったのですが……、

 

 

めちゃめちゃめちゃめちゃハマりました。

 

 

公開前からワクワクしながら情報チェックして初日に観に行けばよかった〜〜〜〜〜〜〜!!!!私の愚か者〜〜〜〜〜〜!と自分を罵りつつも、帰宅しながら興奮ツイートしまくり、前を見てなさすぎて道の段差から落ちて足をぐきっとやり、家につくころにはLINEマンガで原作を読み始め、その合間にTwitterでひたすら画像検索し、朝には日本版コミカライズ全4巻を風呂で読み終えて感無量となり、「友達にもすすめよう」「来週また観よう」「Pixivも巡回に行こう……」とさまざまなオタク・モチベーションがわいてきて、今日の仕事帰りには、レディースデーでごった返すピカデリー新宿を再訪し、昨晩すでに売店が閉店していて手に入れられなかった公式パンフレットもゲットして、今なめるように読み終え、このブログを書いているところです。

すでにTwitterでさんざん騒ぎ、人によってはダイレクトマーケティングメンションもかましておりますので、友人のみなさまにおかれましては「もううるさいよ、観たくなったら観るよ」という感じだと思いますが、わたしの慢性的な、もしかしたら1年くらい続いていたかも知れない5月病を劇的にふきとばしてくれた、というか最近忘れかけていた「萌え」の感覚を取り戻させてくれた、「神と共に」という作品に敬意を払って、「みんな観に行ってくれ〜〜〜〜!」と思う理由を、残しておきたい次第です。

というわけで長かったけれど、今から本題スタートです。

 

1)世界観とストーリーが、普通にめちゃくちゃオタクフレンドリー

ポスターとタイトルからだと、ちょっとどういう映画なのかわかりにくい「神と共に」。元々は「神と一緒に」という、韓国で大ヒットしたウェブトゥーン(ウェブマンガ)を原作としており、ストーリーは一口に言うと、「少年ガンガン」に載ってそうなタイプのファンタジーです。

物語の始まりは、消防士キム・ジャホンが、身を犠牲にして子供を助けるところから。高層ビルから地面にたたきつけられるも、自分が抱きしめて救出した子供が無事両親と再会しているのを見たジャホンは、自分も生存していると思って立ち上がりますが、誰にも反応してもらえず、そこに現れた冥界の使者−−長身の男性・ヘウォンメク(チュ・ジフン)とおかっぱの少女・ドクチュン(キム・ヒャンギ)、そして2人から「リーダー」と呼ばれているカンニム(ハ・ジョンウ)から、「お前は死んだ」と告げられます。

 

死者は冥界におもむき、生前の罪をもとに49日間7つの地獄での裁判を受け、様々な罰を受けるか、あるいは罰をのがれて生まれ変わるに値するかを判定されます。ろう者の母親をおいて死んでしまったジャホンは「生まれ変わっても意味なんてない」と絶望しますが、彼は19年ぶりに現れた、きわめて罪が少なく、他人のために献身してきた「貴人」。実は地獄の使者たちには、「1000年で49人の貴人を生まれ変わらせることができたら自分たちも生まれ変われる」というルールがあり、3人はジャホンに地獄を通過させたいという気持ちで必死。

そんな3人から、ジャホンも「生まれ変わる直前には、生者の夢にあらわれて別れを告げることができる」というルールを聞いて、地獄を乗り越える覚悟を持ちますが、そこにジャホンを狙う「怨霊」が現れて、事態は一気に不穏な方向に……。

 

中国古来の冥界思想にのっとりながらも、ファンタジー的・現代(官僚)的両面にアップデートされた世界観と、各人の思惑・キャラクターがうまくからみあい、きっちり伏線を回収しながら展開していくストーリーが普通にめちゃくちゃおもしろく、140分あっという間に過ぎました。ちなみに、第二章があるとはいえ、尻切れトンボではなく、しっかりオチもついてます。

 

2)パーフェクトとしか言いようのない、ビジュアル・演技をこれでもかと見せつけるキャストたち

映画を観終わって、「あ〜〜すごいおもしろくてスタイリッシュな映画だった! これは原作でどんなバキバキ神描写がされているのか、早くチェックしなければ……」と、もととなった「神と一緒に」を検索した私は、腰を抜かしました。

 

 

作画が……似ても似つかないな!?!?


もちろん原作の絵柄には原作ならではの味わいがあるのですが、まさかここから、

このビジュアルの映画を繰り出してくるとは……。

 

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というわけで、ツイートでもめちゃくちゃ絶賛しておりますが、ビジュアルが本当にやばい。かっこよくて美しい俳優たちが、スタイリッシュな衣装をまとって、一ミリのてらいもなく、とことん深く役をつくって、「冥界の使者」「地獄の大王」などを演じきっており、1シーン1シーンうっとりしますし、そのプロフェッショナルぶりに、「とうとい……」という感謝を述べたくなります。

パーティーの紅一点ながら「弁護士」という大事な役割をキュートにこなすドクチュンちゃんを守ってあげたくなりますし、閻魔大王を演じるイ・ジョンジェのやはりキュートな……いや、かっこよさも半端ないですし、一番ベテランなのに冥界法をバンバン破って外界に介入しまくるカンニムを演じるハ・ジョンウもやべーーーのですが、観終えてからひたすら画像を検索し続けてしまったのは、口先では調子に乗りつつ「俺は来世では韓国第二位の財閥の御曹司になるぞ」とうそぶきながらも、カンニム先輩のみをあんじているオラオラクール系使者ヘウォンメクことチュ・ジフンでした。

 

 

 

 韓国の俳優さんで造形の好きな人いっぱいいて、たとえば去年日本で公開していた「不汗党」に出ていたイム・シワンさんとかも本当に好きなんですが、こんなにかっこいい人今まで見たこと合ったっけ?????と思っていたら、どうやら2008年ごろに公開していた「アンティーク〜西洋骨董洋菓子店〜」の韓国映画版で、見ていたはずっぽい。でも、年齢をかさねてあらゆることが円熟し、スタイルや顔つきも今がめちゃくちゃかっこいい気がする……!し、そもそもそんな人(今年35歳)が「冥界の使者(ちょっとやんちゃな若頭系)」を全力でやってくれてるのがうれしいんだよ〜〜〜〜〜。

というわけで、ロングコートをたなびかせる異常にスタイルのいい男たちが観たい人、絶対観てほしい。

脇をかためるその他キャストも、むちゃくちゃ良かったです。ヒット御礼の下記集合写真、あまりにもかっこいい。

 

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3)ベタな設定、過剰な世界観にしっかりと説得力をもたせるVFX

ストーリー、キャストが良くっても、この手のファンタジーは「あ、予算ないのかな……」な安っぽさが見えてしまうと、一気に崩れてしまいます。

「神と共に」の地獄はちゃんとお金かかってる!!!!

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静止画だと伝わりにくいかな……と思いつつ。本編、動きがあっても本当に違和感がなく、7つの地獄が顕現しており、そこでキャストたちが生き生きと動いており、素晴らしかったです。砂漠の地獄とか、氷山の地獄とか、道中の「剣樹林」とか、とにかく過酷でどでかい自然がバラエティゆたかに出てくるのですが、どれもすごかった。ちなみに「新感染」の美術監督が、今回美術担当しているそうで。すべてをCGで解決!としてるわけではなく、たとえば先に挙げた「剣樹林」に関しては、40日間かけて、600トンの土を使って作り上げたらしい……。そこまでしなくても、といいたくなるが、そこまでしただけの世界が出現していて、それを観させてもらうだけでも価値がありました。

こういう地獄のテーマパークがあったら、ちょっと行きたいかもしれない……とすら思いました。

 

4)「あのシーンまた観たいな〜〜」と思わせる、各アクションのてんこ盛りさとかっこよさ

きっちりお金と手間をかけて作り込まれたVFX、とも関連するのですが、アクションの見せ所もしっかりとあって、その点でも楽しめました。地獄での、怨霊や地獄鬼たちとのファンタジックなアクションももちろん良かったのですが、下界パートでの名探偵カンニムリーダー編では、現代フィールドならではの戦いや肉弾戦があって、それが良かった。なにせ、カーアクションまであったし……。「こんなにサービスしてくれなくてもいいんですよ!?」と謙遜してしまうレベルのてんこもり感でした。殺陣におけるロングコートのひらめき方も本当によかったのだが、アレはなんらかの指導があったのだろうか。

5)原作の魅力をしっかりと生かしながらも、大胆に再構築するメディアミックスの手腕

キャストの項でもふれているのですが、「神と共に」と原作「神と一緒に」は、かなり雰囲気の違う作品です。

LINEマンガで無料公開されているのでわかりますが、ほんわかデフォルメされたタイプの、あまり繊細な動きがあるわけではない絵柄(これも味はあって好き)と、キャラクターたちの会話によって、比較的淡々と冥界のシステムが紹介・展開され、そのテイストは非常に近代的。

 

https://manga.line.me/product/periodic?id=Z0000258

 

「死者は3人の使者に導かれて地獄へと行く」「49日間かけて、大王たちから裁判を受ける」「怨霊の原因を探りにカンニムが下界に降りる」といった要素は、映画とも一致してるのですが、たとえば地獄に行く際に使われるのが「地下鉄」だったり、裁判に同行するのは、使者ではない単独の「弁護士」だったり、さらには、他の亡者たちも道中じゃんじゃん出てきて、主人公(ジャホン)の道中と、他の亡者たちとを比較した描写が展開されたりします。しかもジャホンが「貴人」という設定はなく、彼が各地獄を越えていくうえでは、弁護士・ジンのこまやかな機転が展開されて、その機転こそがマンガ版の一番のおもしろさとなっています。システムと、そのシステムをハックする機転、がポイントなので、絵柄の素朴さはむしろそれとマッチしているなあと思います。

なので、このマンガがヒットした理由も全然わかるし、これ単体で読んでもまったくおもしろいのですが……それをそのまま映画にしても、多分ここまでヒットしなかっただろうなと思います。

ビジュアルをしっかり作りつつ、原作のストーリーに「貴人の輪廻転生とかかわっている使者の利害」「冥界パートと下界パートを絡まりあわせる、ジャホンの家族の謎」「その謎を追うことで見えてくる、使者たちの葛藤」という要素を、スパイスというにはこってりすぎるやろ!というくらいに盛り込んで、きっちりと回収しきるという大胆な再構成を成功させている、というのが、原作を読むことでわかり、それによって映画版に対しての愛着もひとしおわいた次第です。

ちなみに、原作の絵柄だと読み進みづらいな〜〜という方、日本で出版されている三輪ヨシユキさん作画の「神と一緒に」がとってもおすすめです。こちらはちょっとした改変はありつつも原作準拠で、全4巻でサラッと読めます。

 

神と一緒に 1巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)

神と一緒に 1巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)

 

 

6)リーダーなのに勝手に単独行動かましたうえに、困ったときに「ヘウォンメク〜〜!」と呼んじゃうカンニムの、想像を絶する愛くるしさ

キャラもいいけど関係性もいい。多くを語るとストーリーのネタバレにもなっちゃうな〜〜〜と思うので、とにかく劇場に行ってもらえると……。

 あんなかわいい二人や、こんなかわいい二人が観れます。すでにもう観たい。

7)ヘウォンメクの「人間じゃないのでは???」とマジで不安になるレベルのハイパースタイル

はい。

 

 

というわけで、「7つの地獄」になぞらえて、7つ挙げてみました。

5月24日(金)から日本で公開している本作。現在都内では3つの映画館、都心では「ピカデリー新宿」の大スクリーンで展開しているのですが、わたしの行った回はあんまり客入りが良くなかった……。2部作完結で、すでに「第2部:因と縁」の公開も6月28日で決定しているので、自分が観るぶんには全然困らないのですが、できたらもっと多くの人がこのど直球娯楽映画を楽しんでくれたらいいな〜〜〜そして萌えを分かち合おうぜ……という気持ちでいっぱいです。

映画の日だし、何か観たいと思ってた」というあなたも、「美しい男が好き」というあなたも、「5月病を打破したい」というあなたも、良かったら足を運んでみてください。私も、今週もう一度行きます! そして第二章楽しみだ〜〜〜〜!

 

 

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彼女たちは軽やかに踊り続ける――「岡上淑子 フォトコラージュ 沈黙の奇蹟」展

原美術館東京都写真美術館横浜美術館京都国立近代美術館など、どんな展示がやってるかにかかわらず、定期的に足を運びたくなる美術館がいくつかあるんだけど、そのうちの一つが、東京都庭園美術館だ。

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目黒駅から徒歩5分ほどの距離にあるこの美術館は、都内にはめずらしい広大な緑地である自然教育園に隣接していて、名前どおり広い庭園も持ち合わせている。

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ちょっと都会の喧騒から離れたいなというときにとてもぴったりなロケーションなのです。

そして何より、建物じたいが最高。

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パリに遊学してアール・デコ様式に魅せられたという朝香宮夫妻の邸宅をつかった旧館が本当に最高で、展示の内容いかんにかかわらず、とにかく訪れたくなってしまう。

もちろん展示のラインナップも素晴らしくて、行くたびに、美しくて静謐なものに出会わせてくれる。2017年の並河靖之七宝展はかなりよかったです。

www.teien-art-museum.ne.jp

 

というわけで、「そろそろ庭園美術館に行きたいな〜」と思ってるときに見かけたのが、こちらの展示の告知。

bijutsutecho.com

岡上淑子というアーティストのことも、コラージュのなんたるかもほとんどわかっていなかったけれど、メインビジュアルの静謐だけど不安になる美しさに惹かれて、展示初日に行ってまいりました。

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結論からいうと、「美しいものとふしぎなものが好きで、なんとなくさみしさを感じてる人間はみんな見て」という感じ。

「切り貼りって、ちょっと練習したら自分もできるんじゃないかな」「いろんな雑誌からのコラージュということだけど、そんなの元の写真が美しいから美しいのでは」といった安直な考えは、コンマ1秒くらいですぐに吹き飛び、淑子がつむぐこの世ならざる世界にすっかり幻惑されてしまった。

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淑子のコラージュのすごいところは、違う現実と違う現実をつなぎあわせて異界をつくりだしているところの違和感はあるけれど、紙と紙とをつなぎあわせているテクスチャとしての違和感は全然ないところ。画面はすみずみまでなめらかで、明らかにこの画面にいるべきではないものたち、明らかに上半身と下半身で断絶しているものたちなどがひしめきあっていても、では実際どこからどこに境界があるのか、みたいなものがわからないのである。テクスチャとテクスチャのなめらかさゆえに、絵ぜんたいが一瞬脳裏にすっと「こういうもの」として入ってきそうになるんだけど、「いやいやいや」ってなる感じが、きもちよくてこわい。「魅入られる」という言葉がふさわしい作品ばかりだった。

農林水産省の役人の娘に生まれ、戦中の東洋英和女学院での学びを経て、1950年、文化学院デザイン科に入学した淑子。「ちぎり絵」の課題の際に、女の頭だけが切り取られた紙片を見てインスピレーションを得て、そこからコラージュ制作に打ち込むようになったらしい。初期作品ではシンプルな色紙のうえに、人体が分解・接続されてはられているようなイメージが多かった。

彼女の才能が開花したきっかけは、シュールレアリスト・瀧口修造との出会い。淑子の作品に感銘を受けた修造はとにかく「つづけなさい」と話し、マックス・エルンストのコラージュ作品を淑子に見せて、彼女にシュールレアリスムの薫陶を与えていく。瀧口修造から淑子への手紙、本当に才能に心酔し、相手のためになるよう心を砕いているのが見えてよかった。あと文字がかわいかった(笑)。

この瀧口の手助けもあり、淑子は、コラージュを行う台紙にも、単色ではなく、複雑な背景が描かれたものを利用するようになり、結婚を機に制作を遠ざかる1956年まで、奥行きと幻惑性、そして意味のより多層化した作品を生み出していくようになる。

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展示は旧館で展開される「第1部 マチネ」のあと、新館の「第2章 ソワレ」へと続いていく。「マチネ」では淑子自身の資質や、純粋な淑子らしさの見える優雅な作品を見せたあとで、「ソワレ」では時代への風刺が大きく取り入れられた作品――「予感」「戦士」「イブ」など、戦争から復興を過ごした淑子自身と、そこから高度経済成長期へと移行していく日本全体の経験がモチーフとして盛り込まれた作品がたっぷりと展示されている。

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単純にすべてを時系列に並べるのではなく、アーティスト個人を知れる作品をじっくり見てから、彼女が時代にどうアプローチしたか、どう影響を受けたかが伝わる作品を見せてもらえたのが、初心者にもわかりやすくて、非常に良い構成だなと思った。ところどころに展示されていたディオールバレンシアガのオートクチュールもむちゃくちゃ良かったです。

 

おもしろかったのは、風刺色の強い作品になるほど、むしろ女性は女性らしい顔と肉体を持つものとして、画面に存在するようになっていったこと。

メインビジュアルでも使われている「夜間訪問」のように、「マチネ」の作品には頭部がすげかえられた女性(のようなもの)が多数登場していた。そして彼女たちは、この世にまったく興味のなさそうな無貌(かお)をしていたのだけれど、「ソワレ」に出てくる女たち――顔がないもの、顔が別のものになっているものもいるが――は、明らかにこの世をまなざし、翻弄するような意図を見せていた。ヌードも多かったし。

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そのかわりに顔をうしなっていったのは、男たちだ。文字通り顔をすげかえられている男も多かったし、上の「イブ」のように、固有性をうしなった者たちも多かった。

「マチネ」で展示されている「海のレダ」という作品には、こんな淑子の言葉が添えてあった。

 

「女の人は生れながらに順応性を与えられているといいますが、それでも何かに変っていく時にはやはり苦しみます。そういう女の人の苦悩をいいたかったのです。(『美術手帖』1953年3月号)」

 

「マチネ」の作品たちは、すでに作品としてできあがっている写真を切り貼りして再構成するという「自由」を楽しんでいるように見えて、どこか窮屈さを抱いている(あるいは窮屈さを表現するために自由を行使している)ようにも思ったのだけれど、「ソワレ」の作品たちにはそこを越えて軽やかに生きる意思のようなものが感じられて(時系列はかならずしもマチネ→ソワレではないのですが)、「沈黙」どころか「雄弁」なんじゃないかとすら思えて、私にはとても心地よかった。

 

 本人が創作活動から遠ざかっていたのもあり、美術界からも忘れられていたという淑子が再評価されたのは、1996年以降のこと。もっとも盛んに活動していたころから40年って、すごい長い。でも、そこからは淑子の作品は頻繁に展示されるようになっていて、今回が6〜7回めくらいのよう。そして本人もご存命。91歳らしいです。すごいなあ。

わたしは大器晩成というか、歳とってから評価されたタイプの女性にすごく勇気をもらうので、なんかそういう点もうれしくなっちゃって、ミュージアムショップではいつも以上に大量のグッズ購入を行ってしまった。だって、ポストカードいっぱい売ってるし!

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美しいものとふしぎなものが好きで、なんとなくさみしさを感じている方、ぜひ行ってみてください。