It all depends on the liver.

飲みすぎないように文章を書く

美人は性格がいいか?

美人がだいすきである。

テレビや舞台で愛でることのできる一流の美人、その「顔」を商売道具にしている美人たちだと、有村架純さんとか山本美月さんとか最近マジかわいいと思うし、AKBだと篠田麻里子さん大好きすぎたし、男性だと、岡田将生さんと小西遼生さんの顔が本当に本当に好きで、いついつまでも見つめていられる。
(ちなみにこの二人は全然兄弟とかではないはずだがめっちゃ似ていると思う。他の人にも意見を聞きたい)

しかし、そうやって玉のように光り輝いて大勢に認められている「プロ美人」よりも
私が心ひかれるのは、身近な、手が届く距離にいる美人である。道行く人の顔をじろじろ見つめては美人探しをしているので、いっしょに歩く人にはだいたいキモがられる。

 

そんな身近な美人のなかで私が一番美人だと思うのが、中高大の同級生のYだ。

Y柴崎コウ似の美人で、入学したてのころから同級生のあいだで「美少女戦士」などと呼ばれていた。
昔から少女漫画雑誌の読み過ぎで面食いだった私は、Yと同じ運動部に所属することになって、どきどきはしていたものの、カースト高めの部員たちに取り囲まれているYとはほとんど話すことはなかった。先輩すら、1年生全員を怒っているときに「Yちゃんはかわいいから許す」というスタンスをかもしだしていたくらいだ。

ちなみにうちの学校は女子校なので、先輩も全員女子である。女子校というのは男性の目がないぶん牧歌的になるように思えるかもしれないが、かわりに「女子が女子を愛でる」土壌が醸成されているので、厳然とした容貌カーストが打ち立てられているのである。

そんなカーストがばりばりに働いていた部活動において、もっさりとしているうえに協調性やおべんちゃら能力のない私は大変に生きづらく、っていうかそもそも何で入っちゃったのか忘れたくらい球技が苦手だったので1年間でソッコー退部した。
そのままYと接近することもなく私の人生は終わると思われたが、運命のいたずらというものはあるもので、っていうかまあ単なる偶然なんですけど、Yと私は同じ大学に進学することになった。

一応最難関大学ということもあり、同じ大学に進学する人間は20人ほど。
1/240人から1/約20人の関係性になった私達はそれなりに会話などをかわすようになり、「知り合い」から「友達」へと進化したのだが、そこで判明した衝撃の事実があった。
Yが「美人と言われると不機嫌になる」人間だったということだ。

贔屓目でなくミスコンに出られるレベルの美人であり、大学入学時も当然周囲の話題をさらっていたYなのだが、まわりから「Yちゃんってかわいいね」「っていうか柴崎コウに似てない?」と言われるたびに、「そんなことはない」「似てない」と至極不機嫌な顔で否定するのである。
「そんなことないよ〜」「似てないよ〜」という差し障りのない謙遜ではなく、ガチ否定である。

なんと、Yは自分のことを美人だと思っていなかったのだ。

いや、それも本当は正確ではなくて、たぶん、自分が世間的には「美人」と呼ばれる部類なのは認識しているが、それを認めたくない、そこをアイデンティティにしたくない、という強固な意思を持っているということである。

それと関連しているかはわからないが、親しくなって知ったYの内面は、ぜんぜん「美人」ぽくなかった。

たとえば、

・生まれも育ちも川口
しまむらで買った1000円のワンピースを愛用
・好きな食べ物は「きゅうり」、2番めは「かっぱ巻き」
・大学の体育の時間に急に険しい表情になったので「どうしたの?」と聞いたら、「ジャージの股が……さけた……」
・好きな異性のタイプは「花より男子」の道明寺
・「頭のいい人は嫌だった。やっぱ道明寺くらい明るいバカがいい」
・「それか40歳くらいの画家と結婚したい……」

といった感じである。
(決して埼玉をdisる意図はありません)

そんなYと仲良くなったことで私は、美人への幻想というのは、
想像以上に美人たちを生きづらくしているのではないかということに気づいた。
たとえば「美人ほど性格がいい。ブスは性格が悪い」という言説がしばしば話題になるが、あれって、非美人にも失礼かもしれないけれど、美人に対してだってまったくもって失礼なのである。

美人にだって、性格の悪いことを言ったり他人の悪口を言ったり「美人」を素直に喜ばなかったり1000円のワンピースを着たり川口のホームセンターで遊んだり「道明寺と結婚したい」と夢見心地なオタ発言をしたりする権利はあるのである。

 

私はどうしても道行く美人を見つければジロジロ眺めてしまうし、Yに会うたびにパシャパシャと写真を撮りまくってしまうし、実は大学新聞をつくっていたときに「大丈夫、ほんの3行くらいの目立たないコーナーだから」と言って美人紹介コーナーにYを出演させた結果、まあもちろんふつうに紙面のなかでも目立つ企画なので、その後Yにキャンパスでぼこぼこに殴られた。

そんなふうに美人を「消費」する側の人間であることには変わりないけれど、美人たちが楽しく生きられるように、出来る限りの配慮をしていきたいし、美人のそばに置いておいてもらえる人間になれるよう、むしろ自分の性格をこそ良くしていかねばならないと思っている。

あー、美人だいすき。

※2015年5月に別の場所で書いた記事を少し修正しました。