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転職は、ある日ふと「落ちて」くる

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askで「転職を考えているのですが、ひらりささんが転職を考えたきっかけを教えてください」という質問をいただいた。

 

ask.fm

 

以下、もう少し丁寧に、就職時の経緯などもまじえながら整理しておく。

 

テキトーすぎた新卒での就職活動

私は現在ソーシャルゲームのプランナーをしているが、もともとはIT系ベンチャーに新卒で入社し、ウェブメディアの編集者をしていた。

2012年4月〜2015年12月なので、在籍期間は3年9ヶ月である。

 

以前のエントリでも書いているが、もともとは法科大学院に入るため、大学4年の12月まで試験勉強をしていたが、やっぱり出版業界入りたい……という気持ちが強くなり、大学院入試合格発表後に留年するつもりで就職活動を開始。いくつかの出版社の筆記試験、面接にすすむところまではやった。

しかし、就活の際にお話を聞かせてもらった現役編集者の人たちに、ことごとく「出版業界右肩下がりだよ」「ずっとここにいていいのかなあって私も思ってる」と言われて、「なんか中の人がそういうふうに言わなくて済む業界構造の変化にかかわれるようなことがしたいなあ」と思い始める。

その過程で、岡田斗司夫・福井健策共著の『なんでコンテンツにカネを払うのさ?』を読み、書評などを検索しているときに、前職社長のブログにたどり着いた。

 

なんでコンテンツにカネを払うのさ? デジタル時代のぼくらの著作権入門

なんでコンテンツにカネを払うのさ? デジタル時代のぼくらの著作権入門

 

 

たどり着いたらまさに出版業界の右肩下がりの構造を変えるためのビジネスを始めようとしているということだったので、もっと話を聞いてみたいな〜と思ってメールして会うことになったら、なぜかいつのまにか就職することになっていた……というのが1社目入社の経緯だ。「やっぱ就職しよう!」と思い切ったにしても何の就活生的スキルもなく自己分析もしていなかった私は「留年してもどこも引っかからなかったらどうしよう……」と人生五里霧中だったので、拾ってもらったことには恩義しかないし、1社めの選択自体はまったく後悔していない。真面目に就活をやりきっていないことにだけ、ちょっと負い目がある。

自分が入社時は役員以外の社員はゼロだったので新卒1号。退職時には20名程度になっていたはず……(うち編集は4名)。

 

つねに頭の片隅にあった「転職」

1社めの選択自体はまったく後悔していない……が、実のところ、転職自体は前職の入社1ヶ月目から、つねに私のなかにある選択肢だった。なんといっても、毎日怒られていた。社長がポンと私を採用してくれたのは「人手が足りない」&「東大生は仕事ができるはず(幻想)」のコンビネーションによる奇跡的な偶然だった。しかし……不幸にも(「当然にも」とも言う)私は飲み込みが悪く身だしなみもガリ勉オタク女であり気も利かなかった。ほんと〜〜〜〜〜に毎日怒られていました。

心がめげそうな日も多々あった。同期は一人もいないから比較対象がおらず、私が「この世で一番孤独で改善不可能な無能」だという可能性も否定できなかった。Google「新卒 1ヶ月 怒られる」「新卒 3ヶ月 怒られる」「新卒 半年 まだ怒られる」などで検索しつづけ、自分より先に同じ理由でYahoo知恵袋に質問している人(「入社して半年経つのにまだ怒られます。自分がダメすぎるのではないかと思って毎日憂鬱です」)を見つけては、「あ、他にもいるじゃん……よかった……」と元気を出していた。みんな新卒のときは即戦力になどならないものであるというのを(Yahoo知恵袋を根拠に)なんとか自分に言い聞かせ、1〜2年めをやり過ごした。

「この仕事向いてない気もするし、転職したほうがいいのかなあ」という気持ちはつねに片隅にあったが、人手がすさまじく足りないし目の前にある仕事を日々片付けていくのに手いっぱいで、具体的な行動にうつすところにはいかなかった。このまま「できない奴だから逃げた」と思われるのもイヤで、ぜってーーーーーーに「やるじゃん」って思わせてやるという気持ちも強かった。それに、向いていないかもしれないが、自分がかかわった企画が多くの人に読んでもらえたり、著者さんと一緒に新しいアイデアをつくりあげたり、というのは楽しいことだった。

 

直接のきっかけは「友人の転職」

そんな私の、「転職」に対するイメージが現実化したのは3年目のことである。社会人になってから知り合った同い歳の友人が転職したという話を聞いたからだ。「毎日怒られてつらい」とかそういうレベルじゃなくて、同じ世代が全般的に「今後のキャリア」や「自分のやりたい方向性」が見えてきて転職する時期が来たんだなというのを感じた。私も3年目にはさすがに毎日怒られなくなってきて、仕事を評価してもらえることも増えてきて、それは社長からだけじゃなくて外部の方からもで、「あ、そこまで仕事できない人間でもないのでは……?」とホッとしてきたタイミングだった。

 

ホッとしてきたタイミングだからこそ、環境への不満とかそういうことではなくて、いくつかの「転職」へのモチベーションとなる「疑問」が見えてきた。


・もっと人数のいる企業で、違う環境で仕事をしてきた人たちと一緒に評価されたときにも太刀打ちできるのか?
・今の会社でも給料はある程度もらってるし昇給もさせてもらってるけど、転職するとしたらどれくらいのオファーがもらえるんだろう?
・「出版業界の構造を変えるのに一役買いたい」と思ってたけど、「出版業界」にこだわる必要があるのか?

・もっと大きい予算と大きい人数が動く仕事にかかわったらどうなるのか?

 

正直なところ、新卒入社以来ほぼ有給もとらずに走り続けていたので、当時は「転職を口実に1ヶ月くらい休みてええええ」という気持ちも大きかった。おかげさまで40日くらい休めました。

それでも、何よりもいちばん大きかったのは「ここで私がこの立場でできる『新しいこと』はもうない気がする」という感覚だった。もちろん並みの一般企業よりは柔軟で、提案さえすればいろいろやれる余地はあったと思うし、私のやる気次第で、まだまだ前職でやれることはいろいろあったはずだ。はずだけど、「ここでこの立場でできる新しいこと」に対しての自分のモチベーションがなくなって(モチベーションの持てる範囲のことはやりきって)、「ここ以外の、この立場以外での、新しいこと」を見てみたくなったというのが、先ほど挙げた細かな「疑問」につながったんだろうと思う。

実際、前職にも、中の人ではなく外注下請けの人という立場では、今でもかかわっている。

……というわけで、「そうだ、転職しよう」と思い、転職エージェントの力も借りながら転職活動をした結果、現在は、300人規模のIT企業でソーシャルゲームのプランナーをしている次第だ。

前職と現職での相違点は、以下のエントリにまとめてある。

 

zerokkuma.hatenablog.com

 

私は、もうすぐ28歳になる。この歳までに一度も転職していない人だって全然いると思う。それはそれで素晴らしいことだなと思う。ただ転職「活動」をきっかけに見えるものも結構あるので、もしちょっとでも迷いがあるなら、試しにエージェント行って自分の社会人経験の棚卸しするだけでも、今の仕事にもプラスになるんじゃないかなとも思う。

なんと私は、28歳を前にまた転職するので……(笑)。

 

落ちてきちゃったので、仕方がないのでした。