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この5年間、元旦に観た映画を振り返る

新年あけましておめでとうございます。

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2017年〜2018年の年末年始は祖父が亡くなったばかりで「おめでとう」というのも言いづらく、身も心もバタバタしていて、何やっていたのか全然覚えていない……。

まあ実家も近所だし、親戚も少ないので、社会人になってから大したことはとくに何もやっていない年末年始なのですが、この5年ほどルーティンにしていることがあります。

それは「元旦に映画を観る」ということ。

もともと、社会人になるまで、劇場に足を運ぶのは年3〜4回ほどだったわたし。毎月1日が「映画の日」というのを知ったのも、本当にここ最近です。そのうえ1月1日も映画館って結構やっていて、しかもサービスデーなんだ!というのを知ったのが2014年のこと。友達と元旦に初詣する約束をしていて、他にどっか行こうか〜と調べているときに思いついたのが「元旦に映画を観る」だったのでした。だって、元旦って、ほとんどのお店おやすみしているし、遊びに行けるようなところはだいたいめちゃくちゃ混んでるし、疲れるじゃないですか。とはいえ、親戚行事もないのに家にひきこもっているのもなんだか息苦しい。でも、元旦に映画館で映画を観るようにしたら、事前予約で席が確保されているし、ふらっと行ってもそこまでは混んでいないし(元旦に映画を観る人は思ったより多いが、めちゃくちゃ多いというほどではない)、ゆったり時間を過ごせるし、「なんかやった」気分になれるし、毎年元旦に映画を観ると決めておくと、なんだかちょっとした「イベント」感があって楽しいのです(いや、元旦自体がイベントなんですけどね……)。

というわけで2014年から元旦に映画を観始めて、かれこれ5年が経ちました。せっかくなのでここまでに元旦に観た映画を(覚えてるうちに)振り返ってみようと思います。

 

2014年元旦

かぐや姫の物語新宿ピカデリー

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元旦に映画を観ようというところから思い立ったのではなくて、もしかしたら元旦じゃないと「かぐや姫の物語」の席があいていなかったのかもしれない……。もう公開から5年経つことが信じられないくらい、あざやかで心苦しい映画。昨年10月に出た拙編著『だから私はメイクする』では、宇垣美里アナがタイトルをあげていました。


ブリングリング(新宿シネマカリテ)

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ものすごーく観たかったという記憶はまったくないのだが、2014年は調子に乗って「せっかく安いんだから2作品はしごしよう!」として、ちょうどいい時間にやっている作品を探した結果、「ブリングリング」にたどりついたんだった気がする。いや、もしかしたら「かぐや姫の物語」で思いの外悲しくなってしまったので、それを払拭したくて景気の良い映画を観たかったのかも……。ティーンエイジャーたちがハリウッドセレブの留守を狙って金品を盗みまくるというスタイリッシュムービーで、エマ・ワトソンが主演という鳴り物入りだったけれど、日本ではあんまり話題にならなかった気がする。「オシャな気分になりたいぞ!」と思って観たけど、スッキリ爽快気分になる物語ではなく、もっと後味の悪い終わり方をしたので、「そうか……」という気持ちで家に帰った記憶がある。エマ・ワトソンはめちゃくちゃかわいいし、セレブの家はめちゃくちゃゴージャスだし、好きは好きです。きわめて単純に比較しますが、同じティーンエイジャー犯罪系でいうと、「スプリング・ブレイカーズ」のほうがぶっぱなしていて楽しかったかな……。

 

2015年元旦

ベイマックス(T・ジョイ京都)

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実は2015年の時点では、「元旦に映画を観続けるぞ!」とは思っていなかった。なぜならば、この年の年末年始は、インターネットで知り合った女子大生の家に転がりこみ、京都で年越しを試みていたからである。人の家で手作り料理を食べさせてもらい、ジャニーズのDVDを観て、知恩寺に鐘を鳴らしにいく正月はめちゃくちゃ楽しかった。

めいっぱい遊んだあとは元旦の夜に夜行バスに乗るつもりだったのだが……バスの時間を間違えていたんだっけ、それか夕方くらいに思いついたのかもしれないが、京都駅そばのイオンにある「T・ジョイ京都」で急遽ベイマックスを観ることにしたのでした。

いや〜〜〜泣いたよね。めちゃくちゃ泣いたよね……。夜行バスで泣いている変な人になっていたと思います。元旦をベイマックスで始められたというのは、なんだかめちゃくちゃいい年っぽいし、人と人との思いやりみたいなことを考えながらバスにゆられていたと思うのですが、実際にはこの数日後くらいに当時付き合ってる彼氏ともめて別れ、その後もさまざまな動乱に見舞われた記憶があります。っていうか、よくよく考えたら、年末年始にわざわざ京都に行って年を越したのも、クリスマスくらいからその相手に対してモヤモヤをかかえており、「年末年始に相手と会えない距離にいたい」と思って、逃亡したからだったのを思い出してしまった。元旦に観た映画は、とくにその年の人生の指針にはならない。

 

2016年

きみといた2日間(新宿武蔵野館

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このあたりから、「元旦に映画観つづけよう」というモチベーションが生まれている気がする。この「きみといた2日間」は、すーごく観たくて予定をあけていたというんじゃなくて、武蔵野館に別の作品を観に行ったときに見かけて気になっていて、結果として元旦に観たんじゃなかったのかな。

邦題は「きみといた2日間」というめちゃくちゃ感動ものっぽいテイストになっていますが、英題「TWO NIGHT STAND」からわかるように、実はこれ、出会い系アプリで知り合ってワンナイトスタンドするつもりだった二人のラブコメです。

ワンナイトで割り切った関係をするつもりで、実際事後も「なんか噛み合わねえな」と思っていた二人が、吹雪の影響で家から出られなくなり、もう一夜を一緒に過ごさないといけなくなってしまって……というお話。「セッション」だとひたすら耐え忍んでいる鬱屈な青年だったマイルズ・テラーがさわやかな笑顔を見せたりします。何より主演のアナリー・ティプトンが独特の美人でかわいかったな。

2015年は後半あたりから、情緒がはちゃめちゃに破壊される恋愛などがあり、「BLもJ-POPも無理……なぜならば愛とか恋とかばかりを描いているから……愛や恋のないセカイに行きたい……」と、BLとJ-POPを一切排除する暮らしに転がり落ちていたのですが、その後の年越しでは、酒飲みの男友達とアメ横御徒町のビアバーでがばがばに飲んで酔っ払いすぎてゼロ年代ギャルゲーの話などで盛り上がったあとカラオケに行き、「おそ松さん」EDを熱唱をしたりされたりしたあと、アメ横の昼飲みの名店「たる松」に行けるかな〜と思ったらさすがにやってなかったので解散して、私はその足で川越氷川神社(復縁で有名です)に行って、恋みくじを引き、さらにその最寄りにある占い師のところに占いしてもらいに行って、なんか逆にすべてがどうでもよくなってきて、夜に「きみといた2日間」を観たんだった気がします。それにしてもオールしたうえで川越行って戻って映画観るって、すごく元気だな、27歳のころの自分……。今は無理。

 

2017年

シング・ストリート 未来へのうた(ギンレイホール

 

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この年も、Twilogによれば湯島天神に初詣して年越ししている。

で、たぶんそのまま上野〜御徒町あたりで飲んでオールしたのですが、その過程でメイクポーチを忘れて、それを取りにもどった元旦だったことまでTwilogに残っている……優秀なライフログだ。

このあたりから元旦映画だけでなく、年越し飲んだくれ→元旦映画のフォーマットができあがってきていることがわかります。そして2017年の元旦には「永い言い訳」が観たい!と決意していたのですが、朝の上映回しかなかったために、酒飲んだあとでは厳しいと思って諦めたらしい。結果、観ることになったのが「シング・ストリート」。あまり前評判も、監督の前作も知らず、とにかく元旦に観れる映画として観に行ったようなのですが(元旦に営業してくれる名画座、ありがたすぎる……)、めちゃめちゃめちゃめちゃ良かった。過去の「元旦映画」(という自分独自のくくり)のなかでは、一番良かった可能性がある。本当に脱出口のない掃き溜めみたいな人生を送っている(と絶望している)主人公が、音楽と恋のちからでみるみるエネルギーにあふれていき、でもそれでも人生はうまくいかなくて、本当に本当にめげそうになるんだけど、そこで現実を受け入れるような終わりにするんじゃなくて、むしろ「えーそんなのアリ!?」と驚くような、ちょっと非現実的な(でもギリギリ現実にあってほしいなと思える)展開をもって幕を閉じるので、観ているこちらも、実は自分も知らぬ間にいろんなことを諦めていたかもしれないな……とハッと胸の奥のわだかまりを突かれて、たまらない気分になるのでした。とにかく音楽も素晴らしい。Amazonプライムなどで観れると思いますので、おすすめです。

永い言い訳」は結局1月2日は二日酔いで観に行けず、3日は完売で観られず、7日に観に行きましたが、こちらもスーパーだいすきな一作です。

 

2018年元旦

ゴッホ 最期の手紙(新宿シネマカリテ)

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2015年、2016年、2017年は一人で気ままに映画を選び、観ましたが、2018年は、人と約束をしておりました。なので「ゴッホ 最期の手紙」は完全に自分の趣味というわけではなく、一緒に行く人と相談して決めたんだった気がする。「ユダヤ人を救った動物園」と迷ったんだったような。

まわりの評判が良かったので気になっていたという感じで、自分に合うかどうかはまったくわかっていなかったのですが、観たら、なんかもうすごかった。どういう映画なのかほとんど知らずに行ったら、上映時間中すべての映像が手描きの油絵アニメーションだったという。125名の画家たちが長期の特訓でゴッホのタッチを完璧にマスターし、本編では1秒に12枚の油絵を撮影、62,450枚もの油絵が使われていたらしいですよ。そんなん、つくってる間にだれも発狂しなかったの!?とふるえそうになりました。「ゴッホ 最期の手紙」はゴッホのさまざまな絵画のモチーフを扱いながら、ゴッホ自身の人生の謎に迫るというものなので、ゴッホのタッチでゴッホや実在の人々が登場するのですが、エンドロールのあとにその人たちの写真や、ゴッホが描いた人物画が出てきて、それもなかなか圧巻でした。

作品の性質上(字幕をかぶせられないので)吹替版のみの上映でしたが、なみいる声優さんたちが囲むなか、主役のアルマンを演じた山田孝之さんの演技も非常に良かったです。油絵に声当てるの難しいよね……(笑)。

なんか、世界にはまだまだ存在していないようなタイプのコンテンツをつくろうと頑張っている人たちがいるんだなあすごいなあという感想を抱いて、刺激を受けた記憶があります。そういう意味で、元旦に観られて非常に良かった映画。

 

2019年元旦

おとなの恋は、まわり道(新宿武蔵野館

 というわけで、今日も観てまいりました、映画。「ファンタスティック・ビースト2」とか「アリー/スター誕生」とか「来る」とか、いろいろ気になっているものはあったのですが、元旦はなんだかミニシアターの気分だなあ……(極力人の少ないところに行きたい&忙しいと足をのばさないかもしれないものを観たい)と思って、新宿武蔵野館に行くことに。今年も友達を誘って湯島天神にお参りはしていましたが、オールはせず、昼間は家であたたかくしながら仕事の原稿をしあげたり、とどこおっていた取材依頼を出したり(元旦に出すなよ感ありますが…)、ブログを書いたりしており、酒のはいっていない状態で映画館に向かうことができました。終わったあとも酒を飲まずに家に帰った。4年ぶりくらいのシラフ元旦です。

近年は「ジョン・ウィック」シリーズに時間と体力を傾けているキアヌ・リーブスさんがなぜ急に今になってラブコメに!?という観点から気になっていたのですが、かなりひねくれたキャラクター2人の掛け合いが90分延々と続く(他の役者も出てくるが一切しゃべらない!)という独特の構成で、西尾維新の小説(キャラクターが延々とひねくれたことをしゃべる)が好きなタイプのオタクであるわたしには、とてもおもしろかったです。映画サイトの記事によると「脚本を気に入ったウィノナがキアヌに送ったことで実現」したらしい。なるほど〜〜〜。実生活でもかなり独特のライフスタイルで知られるキアヌ・リーブスが演じる独特の偏屈男、めちゃくちゃかわいくて最高でした。キアヌ萌え映画……。「きみといた2日間」同様、邦題はほっこり系なんだけど、原題は「Destination Wedding or Narcissist Can’t Die Because Then the Entire World Would End」という非常にひねくれたものだったので、それもまた良かったですね。「リゾート婚」のことをDestination Weddingと言うことも知っておもしろかった。

とにかくひねくれた皮肉の応酬の連続でそれがおもしろかったのに、小難しいワードが多いのもあってか、英語を聞き取れなかったのが非常に悔しかった。新年早々、もっと英語聞き取れるようになりたいな〜〜〜と思う一作でした。

 

 

というわけで、作品を振り返るつもりが気づいたら、自分の年末年始プラスアルファも微妙に振り返っていた……。こうやって作品にひもづいて記憶が呼び起こされるのも、元旦に映画を観ることのメリットではないでしょうか。まあ別に、ちょっとくらいずれていてもいいと思います。明日1月2日は水曜日、すなわちレディースデーですので、レディーのみなさんは、明日から「映画はじめ」してみてはいかがでしょうか。わたしも、この休み中にあと2本くらいは映画観たいな〜。

 

2019年も、楽しくコンテンツにまみれて生きたいものです。